われ、走らんとす。

マラソンなる長距離走にて3時間を切るための話など書き綴るなり。

【レースレポート】第31回 ぐんまマラソン

ぐんまマラソンへの意気込み

水戸黄門漫遊マラソンにエントリーし忘れて仕方なくエントリーしたぐんまマラソン。まさか水戸がオンライン化でぐんまはリアル開催とは不思議なめぐり合わせだ。

 

エントリー後、走行距離は6月252km,7月288km,8月310kmと伸ばしていったがこの頃はコロナの状況がヤバすぎて(語彙力)リアルで開催見込み薄いと半信半疑以下の気持ちでトレーニングしていた。そして9月には東京の延期と水戸のオンライン化が発表。ぐんまも時間の問題かと思われた。がしかし、ふと公式ページを見てみるとコロナが猛威を振るう8/23に「ボランティア追加募集のお知らせ」。なんと、ぐんま、やる気じゃないか?

 

この辺からやる気が出てきて9月は366kmに到達(自己最高)。週末は山と坂練で脚の耐久力を養い、週1のひとりインターバルではスピードを磨いた。そしていつまで経ってもぐんま公式ページには中止の文字はない。高まる信ぴょう性とみなぎるやる気!元気!いわき!練習に熱が入る。10月はテーパリング(疲労抜き)で距離を意図的に落としたが258km。本番直前の4週間として今までなら考えられないトレーニング量を余裕でこなす。

 

ぐんまのエントリーで目標タイムは自分でも半信半疑で3:00と入力した。が、10/21のMKディスタンス5000mTTでは18'48"で初の18分台を叩き出した。巷では誰が言ったかサブ3の最低条件は5000m18'45"のスピード能力と言われている。3秒なんて誤差。サブ3が自分の中で信憑性を帯びてきた。その他、世の中に出回るありとあらゆる有象無象のタイム予測ツールを使い、サブ3を目指せる数字的根拠を肉付けして絶対できると思い込む(ちなみにVDOTの予想タイムは2:59、愛用時計のPOLARでVO2Maxが64でなんかヤバかった(語彙力))。予想タイムなんて理想的な条件が揃った上での机上の空論なのはもちろん承知の上。そんな机上の空論でも条件さえ揃えばサブ3を目指せるだけの可能性が現実に生まれていることに成長を実感し、それがとにかく嬉しかった。

 

ぐんまマラソン

1週間前から前橋の天気予報を見たり、youtubeで前の大会を走った人の動画を見てイメトレ。そわそわして迎えたぐんまマラソン前日。前橋に前泊し明日の準備をしつつ22時には就寝、のはずが緊張してるのかなかなか寝付けない。試しにシャバーサナしてみたが変わらない。寝てるのか寝てないのかわからないぼんやりした意識のままいつのまにか起床予定時間の4:30に。

 

スマホを見ると何件か応援のメッセージが来ていた。こんな早朝に返信は迷惑かなと思いつつも返信しちゃう。応援してくれる人がいると思うとやっぱり高ぶる。高ぶったままホテルにお願いしていたモーニングコールはワンコール鳴らないうちに取った。

 

計画通りに起床即朝食、着替えを済ませて6:30発のシャトルバスに乗るために駅前へ。バスは15分ほどで停止し、さらに7分歩くと会場の正田醤油スタジアムに着いた。パンフレットは読み込んだので受付から荷物預け、トイレの位置、整列場所まで把握している。気合が違う。流れるように受付をくぐりアップ会場へ進む。空は驚くほど雲ひとつない快晴だった。

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前日は登利平でカーボローディング
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当日の装備品
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受付に並ぶ列

2年ぶりのスタートライン

アップでは軽くジョグしただけで心拍数が180まで簡単に上がってしまった。通常ならダッシュを何本かしないと出ないかなり高い値。いつもなら150前後なんだがどうやらすごく緊張してるらしい。誰かが言ってたけど緊張は自分への期待の現れなんだそうだ。確かに期待している。フルマラソンを走るのは実に2年ぶり。前回は2019年12月の台北ラソンだった。あのときは気温25度もあって20kmで脚終わって大失敗だったっけなど考えながら8:30にスタートのAブロックに向かう。スタート時間の9:00までは上半身のストレッチをしながら過ごしたが引き続き大して動いてもないのに心拍数が130-140をうろうろ。高い、大丈夫か。落ち着くんだ…素数を数えて落ち着くんだ…。

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雲ひとつない正田醤油スタジアム

号砲 スタート〜5km

さて、今回の作戦はありきたりだけど3:00のペーサーについていくこと(4'15"/kmペース)。でもスタートから15kmまでは上り基調なので4'20"/kmまで落とすのは問題ない。15kmからは30kmまで下り基調でここでペーサーに追いつき無心で走る。35kmから登り。ここは自然と坂練の成果が発揮されるでしょう!と入念な準備の割に安易な作戦。でもレースは何が起こるかわからないし綿密に作戦立てても仕様が無いのでそんなもんじゃないかと思う。

 

そうこうしている間にSブロックがスタートし、ほどなくしてAブロックもスタート。3:00のペーサーについていくはずが人の波にうまく乗れずあっという間に引き離され見えなくなった。初っ端から作戦が崩壊(結局ペーサーは最後まで見つけられなかった)。でも作戦通り行かないのはむしろ予想の範囲内。あまり気にせず自分のリズムで走る。なんだか調子がいい気がする。時計を見ると5kmまでのペースは4'16"/kmでほぼ予定通り。一方で心拍数が真っ赤(限界に近い)だけど呼吸も苦しくないし問題なし!このまま行くで!と変わらず進み続ける。後でデータを見ると5km過ぎの上りを超えたとき、心拍数はこの日最高の204を記録していた(私の最大値は207なので98%。限界)。

快調なペースと誤算 〜15km

快調なペースで無理なく走っている(つもり)が、10-14kmはこのコースの最高地点まで登る山場。飛ばさないよう時計をにらみつつ進む。実際11-14kmは4'24"/kmペースまで落とした。15km地点で平均ペース4'18"/kmと当初の作戦とほぼ同じ。我ながら素晴らしいペースメイクだと感心していたのだが不安なことがあった。直射日光がとにかくきつく、たまらなく暑い。実は最初の給水から暑くて身体に水をかけながら走っていた。それと身体にかけることに気を取られたため飲むのを忘れていて、ここまで量にしてコップ一杯程度しか摂取していなかった。結果としてそれが仇となった。

トラブル 〜22km

暑さは相変わらずだったし風も強くなってきたが予定通りのペースで走って呼吸も(なぜか)苦しくなく余裕すら感じていた。さてそろそろペースを上げてペーサーに追いつこうかなんて思っていた矢先の18km、右ふくらはぎに異変。攣りの兆候。まさか18kmでくるとは予想外、早すぎる。その後も断続的に攣りの兆候が現れるが完全には攣らないようにだましだまし、なんとか4'20"/kmで耐えるも、それ以上ペースを上げられない。わらにもすがる思いで給水地点で用意していた電解質パウダーをむせながら摂取(ミネラルで脱水予防)。周りには立ち止まってストレッチするランナーが増えてきた。そして努力むなしく22kmでついに攣って完全停止。道端でストレッチするランナーに加わることになってしまった。タイムはハーフで1:31'02"。攣った脚でペースが上がるはずもなく、サブ3への挑戦は事実上ここで潰えた

地獄 〜40km

攣ってからはもう地獄のような辛さだったが何度もピクピクするふくらはぎを強引に動かして進んだ。記録を見返すと攣った後の22-27kmまでを4'30"/km前後で頑張っているので自分でもすごいと思う。が28kmで左足も攣る。ここからはもうキロ5で耐えるのも難しかった。両脚が痛いし重い動かない。ふくらはぎもハムも全部痛い。風強い。暑い。用意してきたジェルも全部飲んだ。ついでに水も飲みすぎてなんだかお腹痛い。せめて電解質パウダーもう一袋持ってくればよかった、なんて後悔しながら念の為ポケットをまさぐると、なんかある。取り出すとなんと足攣り予防用のコムレケアゼリー!お守り用に持ってきていたのをすっかり忘れてた(即飲んだ)。すると飲む前の平坦区間30-35kmが26分06秒なのに対し、コムレケアゼリー摂取後の後半最大の山場である上り区間35-40kmが25分45秒で盛り返した。俺はバカだ

ラスト2km 〜感動のゴール

しかし40kmからのラスト2km。ここが一番辛かった。地味に登っているし川沿いのコースは風が相変わらず強くて進んだ気がしない(これが赤城おろし)。そして引き続きの暑さ。気温は20度を超えていただろうか。コムレケアだってここまでダメージ受ければ後の祭りで鼻くそみたいなもんである。また攣りの気配がビクンビクンきていた。そんな満身創痍のところにどこからか名前を呼ぶ声。んん?シライさんがいる!?前日までぐんま参加を非公表にしてたのにシライさんが沿道で名前を呼んでくれている!瀕死なのになんだか元気が出た(シライさんありがとうございます!)

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40km付近で苦しむ自分(シライさん撮影)

元気が出たところで残り1kmちょっと。この1kmがとても長い。すぐ前にいる小柄な女性を最後に抜きたくてペースを上げて一旦は抜くも結局最後は力尽きて抜き返されてのゴール。さっきまで走っていたのが嘘のようにしばらくぶっ倒れた。

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35−40kmで盛り返しててえらい

レース後

ぶっ倒れながらスマホでタイムを確認する。3:15'08"(ネット)。これまでのベストは2019/8の北海道マラソンで出した3:23'08"なので目標のサブ3には及ばずも8分更新したことになる。振り返ると前半の快調なペースと早くに脚が終わったのに粘れた点に成長を感じた。反省は色々あるしタイムには全く満足していないけど、2年ぶりに大規模なマラソンを走れたことが何よりうれしかった。やっぱりレースという機会は自分にとって大事。来年はコロナ次第だから結局どうなるかわからないけど他のみんなのためにもやってほしい。そしてぶっ倒れながら思った。2年で8分、コスパ悪いな。

 

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1km毎のLAP
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スタッツ 心拍数が高すぎる

 

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前橋駅前でリカバリー温泉