われ、走らんとす。

マラソンなる長距離走にて3時間を切るための話など書き綴るなり。

【レースレポート】激走!第8回水戸黄門漫遊マラソン


2023年10月29日。第8回水戸黄門漫遊マラソン(以下水戸)。

 

今年4月から年内のターゲットレースに据え、(文字通り)仕事そっちのけでトレーニングに取り組んできた。アップダウンが激しくレース最終盤41km地点に斜度10%の激坂が待ち受ける難コースの水戸をターゲットレースに選んだのには理由がある。

 

一つは時期。これは去年の10月末水戸→翌年1月末勝田全国マラソンへの流れで確認していて、翌年2,3月に特A級ターゲットレースを入れる場合、10月にフルマラソンを入れると間を3ヶ月とれる。3ヶ月あればしっかり休養でき、10月に出た課題を克服するのにも十分な期間がある。

 

2つ目はエントリーが容易であること。水戸は先着順でエントリーが決まるがエントリーが殺到する超人気レースではなく、同時期に横浜や金沢もあるので人気が分散され、エントリー期限さえ忘れなければ確実にエントリー可能。トレーニングスケジュールが組みやすい。

 

3つ目はコース。水戸は給水ポイントがほぼ3kmおき15箇所と多く脱水による足攣り率90%以上の自分には都合がいい。昨年も出たが十分給水でき足攣りせずゴールできた。そしてコースを知っているというのが最大のアドバンテージ。愛読するジョジョの奇妙な冒険第六部「ストーンオーシャン」のラスボスであるプッチ神父の有名なセリフにこんな一節がある。

 

義務教育で取り入れるべき「ストーンオーシャン」より

 

これをマラソンに例えるなら

 

たとえば、数日後のマラソンで何が起こるのか?参加者全員がそれを知っている
加速したラソンの旅で、自分がいつ足攣りにあい、いつエネルギー切れになり、いつが尽きるのか?すでに体験してここにきた

 〜 略 〜

悪い出来事の未来も知ることは「絶望」と思うだろうが、逆だッ!
明日「死ぬ」とわかっていても「覚悟」があるから幸福なのだ

「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ!

 

コースの難所やポイントをわかっていることは覚悟があることと同じッ!

『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばす」のであるッ!

(つまり対策立てやすいですね)

 

そういうわけで水戸をターゲットにした。

前置きが長くなったがまだ続く。

次に事前に立てたレース戦略について。

 

レース戦略

戦略と言っても端的に言えば「誰かをペーサーにして引っ張ってもらう」しかないのだがそれだけでは味気ないのでそれ以外のことをもう少し説明したい。

 

戦略1 時計の活用

昨年の水戸を走った経験から、愛用の時計Polar Vantage V2では総距離が約500m多く計測されてしまうことがわかっていた。つまり時計で計測の距離やペースは当てにならないということである。これは多かれ少なかれどの時計にも当てはまる。ではどうすればいいか?頭をひねって絞り出した結論は「ラップタイム機能を使うこと」。

 

Polarflowより フェーズタイトルを距離と積算時間にしておくとアラートが鳴るたびに表示されるので距離と時間を覚えたり腕に書いたりしなくていい

 

賢明な読者諸君なら一瞬にして察したと思うが一応説明しておくと、インターバル機能で設定ラップタイムが来るとアラームが鳴るように設定している。例えば自分の場合だとターゲットタイムを3時間9分30秒に設定したので3kmだと13分28秒。つまり設定ペース通りに走れば13分28秒毎に3の倍数の距離表示(3,6,9,12km...)を通過することになる。沿道には必ず距離表示があるので見ながら走る。

 

例えば3kmポイント通過時にラップアラームが鳴ればちょうど設定ペースで走れていることになる。以降も3の倍数のポイントでアラームが通過後に鳴れば設定ペースに先行、通過前なら遅れている。時計の距離やペース表示に惑わされることはない。10秒遅れたとしたら逆に自分より10秒前の人たちが自分の設定ペースで走っていることになるので次の3kmかけてその人達に追いつけばいいことになりわかりやすい。

 

想定ラップを3km毎にしたのは42kmが3の倍数であることが一つ。二つ目に遅れが発生した場合、1kmだと忙しなくペース調整が必要だし5kmだと長過ぎて逆に遅れを取り戻すのが手遅れになる可能性がある。これを踏まえると想定ラップを3kmとするのがちょうどいいように思えた。

 

 

 

戦略2 補給の工夫

これは前回の勝田全国マラソンから取り入れているがエナジージェルの封をいちいち切るのが煩わしいのでジェルを水に溶かしてマグボトルに入れて走るというもの。トレイル界のアイドルおじさんこと、ガチオさんもこの方法を取っている。ジェルを切る手間がなくなるし一緒に水も補給できるので脱水しやすい自分には一石二鳥。ジェルの封を切るのは両手が塞がるしうまく開かなかったり手についてベトベトしたりと結構なストレスになるがこれが全部クリアできる。腰部分に装着することになるので重みが苦手じゃなかったら強く推奨したい。(ただし今回はカフェイン入ジェルだけは別で携帯した)

 

 

 

参考:8km地点 マグボトルを腰に挿して走る著者(見つけて)

 

 


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戦略3 コースの対策

去年走った記憶だけでは心もとないのでYoutubeにアップされてる動画で復習した。坂が来るポイントをなんとなく把握しておくことと前回の記録を見て特に以下3点に気をつけた。

 

22-30km 平坦な道だが逆にメリハリなくリズムが単調になって去年ペースを落としてしまったのでできるだけ集団に入ってペースを保つ。

33kmからの偕楽園千波湖は道が狭く曲がりくねっているので走りにくい。無理に抜くと消耗するので誰かの背中についていくようにする。

39-41km 梅香トンネルの下りから激坂直前の平坦な道。激坂でペースが落ちるのでここで貯金を作っておく。

 

Setagaya Jiroさんには(Youtubeで)非常にお世話になっている

 

こんな感じで事前対策を立てた。

 

ターゲットタイムはPBとなる3:09.30(これまでのPBは2021年11月ぐんまマラソンの3:15.08)。3:10切りが目標だけどぴったりに設定したら余裕がなくなったとき怖いので30秒のバッファを作った。目標タイムは水戸1ヶ月前の高島平ハーフマラソンと1週間前のMK DISTANCE 5000mの結果を根拠に達成可能な目標として設定した。目標設定で大切なのは「走りたいタイム」と「適切なタイム」を混同しないことだと思う。走りたいタイムが適切な目標とは限らない。

 

事前準備でただ一つミスったのは上野からの特急チケットの予約が遅れて水戸駅到着が8:05になってしまったこと。去年は前泊してたので時間たっぷりに準備できたが、今回は水戸駅着8:05、整列開始8:10、スタート9:00なのでトイレ行って荷物預けてアップしたらすぐに並んでも8:30は過ぎていてブロックのかなり後方になる恐れが高い。できるだけ早めに目標ペースが同じ集団を見つけたいのでブロックの最後尾は結構つらい(去年は8:40に並んだら寿司詰めでブロック最後尾から動けなかった)。

 

レース当日

前日はできるだけ早めに寝ようと試みたが高ぶってるのかほとんど寝付けずに朝を迎えた。レース前はよくあること。都内は雨で寒かった。水戸の天気予報を見ると8-10時で雨予報。あれだけ対策考えてたのに雨のことを全く考えてなかった。予定通り出発し6:44上野発ときわ39号に乗車。ランナーしかいない車内。少し仮眠してから車両間の空きスペースでストレッチ。水戸に着いてからはウォーミングアップに十分な時間が取れなそうなので移動中にできることはやっておきたかった。なぜか他にストレッチしてる人はいなかった。トイレも行っておきたかったが車内のトイレは長蛇の列でやめておいた。

 

やっと水戸につくと雲が立ち込めているが幸い雨は降っていなかった。まずは事前に穴場と見込んだ三の丸ホテルのトイレに直行したが(大は)20分近く待ってしまいいきなり超タイムロス。もう荷物預けて並びに行くことにしたけどなんと荷物預けも最後尾が見えないほどの超長蛇の列でここでもタイムロス。結局アップはほとんどできず荷物預かりから自分のBブロックまでの1kmを少しジョグしたくらい。整列は去年と同じく8:40になってしまった。けど幸いだったのは去年ほどブロック内が混み合ってなくブロック真ん中まで行けたこと(まだ荷物預けに並んでる人が多かったのかも)。

 

そしてスタートを迎えた。

 



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レース

 

実際は3km毎のタイムで設定との差を測ってたけど公式記録と比較できないので5km毎のタイム差で比較していきます

 

スタート〜5km

スタートしてからは混み合っていてなかなか自分のペースでは走れなかった。早いとこ目標ペースくらいの集団をみつけたいけど人が多すぎてまだそんな段階では全然なかった。無理に抜いていくと消耗するので焦らず最低限のペースを心がけた。スタートで会ったあやおさんが「サイラス練のコガくんが3:10ペースで走るよ」と言っていたのでとりあえず探すことにしたが全然見つからなかった。

 

  5km通過  想定0:22.27 実際0:22.57 タイム差 +30秒 ※ネットタイム

 

5〜10km 

徐々にバラけてきてペースが上がった。6kmくらいでPTCキッシーさん発見。そしてその前に念願のコガちゃん発見!さてさてついていくか〜後は何も考えず付いていくだけと思いきや、なんとコガちゃんは3.5ペースで走ってるとのこと。残念ながら一緒に行けずさらに前を目指すことになった。まだペーサーになるような人はおらず無理は禁物だが早めに目標ペースの集団に入りたいのでもう少し頑張ることにした。

 

 10km通過  想定0:44.54 実際0:45.13 タイム差 +19秒

 

10〜15km

この辺りからいい感じで走っている人をペーサーにして走っていけるようになった。特に小柄な黒ウェアの女性(多分年上)とNIKEキャップの男性が良い感じで背中につかせてもらうとしばらくして借金を完済。想定タイムとほぼ同じで走れるようになった。そしてどうやら念願の同じ目標ペースの集団で走ることに成功した。

 

 15km通過  想定1:07.21 実際1:07.20 タイム差 -1秒

 

15〜20km

引き続き集団で走る。小柄黒ウェア女子とNIKEキャップ男子も一緒。他にはトライアスロンぽい男子、派手なウェアのちょんまげ男子など10名程度で集団を形成。特にトライアスロン男子は安定しててしばらく背中を借りることになった。アップダウンの前後で集団がバラけることもあったがしばらくするとおなじみのメンツが近くにいた。集団のペースは快調で少しずつ貯金ができ始めた。

 

 20km通過  想定1:29.49 実際1:29.39 タイム差 -10秒

 

20〜25km

ここのポイントはハーフ付近の陸橋往復ゾーン。ここは陸橋上り下りでペースが安定しないのと道幅が狭いので走りにくい。集団が細長くなったが目印のトライアスロン男子についていくことだけを心がけた。安定してるトライアスロン男子がありがたい。

 

 ハーフ通過  想定1:34.45 実際1:34.33 タイム差 -12秒

 

ハーフを通過してもまだ余力は十分。23kmで足攣り対策の芍薬甘草湯を予防的に摂取。すると小柄黒ウェア女子が飛ばして先にいった。他にもペースを上げる人がちらほら。脚も心肺も行こうと思えばペースを上げられる感触。だけどすごく迷った。今日の目標は3:10切り。今でも貯金ができているペースなんだからこのまま維持でも大丈夫なはず。だけどここから30kmまでは事前に警戒してた平坦単調ゾーンで独走となる方がリスクかもしれない。するとトライアスロン男子、続いてNIKEキャップ男子も行った。覚悟を決めてついていくことにした。覚悟は絶望を吹き飛ばすのだから。

 

 25km通過  想定1:52.16 実際1:51.44 タイム差 -28秒

 

25〜30km

ペースを上げる集団についていくが余力はまだまだ問題なし。いつもはもう脚が攣っているのでやはり水分をちゃんと取れていることがとてつもなく大きい。集団はいつメンもいるが少しずつ入れ替わっている。NIKEキャップ男子は少し前に飛び出していった。黒ウェア女子はまだここにいる。トライアスロン男子とちょんまげも一緒。偕楽園に行くまではこのメンツと一緒に行った。

 

 30km通過  想定2:14.43 実際2:13.56 タイム差 -47秒 

 

30〜35km

30km過ぎの大きな下りと上りを終えると偕楽園が見えてきた。ここから千波湖周回は事前に注意してたポイントの一つ。道が細く曲がりくねって無理して抜くと消耗が激しい。そして偕楽園に突入した途端、集団は解体。単独走になりそうだったが後ろから抜いてきたおじさんにうまくついていくことに成功(この人には梅香トンネル入口までついていった)。ペースを落とさず走れたがこの辺から少しずつ疲れを感じ始め、1つ目のカフェイン入りメダリスト(コーヒー味)を摂取した。今まで食べたことなかったけどコーヒーゼリーみたいで甘すぎず美味かった。

 

 35km通過  想定2:37.11 実際2:36.24 タイム差 -47秒

 

 

35〜40km

やっと千波湖周回を終えようかという36km。ついに来た。左脚が攣る。が、完全には攣らずビクンッとなっただけ。今まで攣っても攣っても走ってきた。勝田ではハーフ前に両脚攣ってもその後の15kmを4:40/kmで走った。今回もだましだまし完全には攣らないように行くしかない。こんなこともあろうかと芍薬甘草湯はもう一包用意してきたので飲んだが直後に右脚も逝く。足攣りには効かないと知りつつも最後のメダリストを飲む。回復アイテムはもうない。

 

千波湖後の陸橋の緩い上りが地味に辛い(後でログ見たら橋でキロ5まで落ちてた)。もうすぐ名物梅香トンネルのパリピ空間で下りで爆走できるはず!ガマンガマン!両脚はずっとビクンビクンしてるけどなんとかトンネル前の上りをクリアして梅香トンネルに突入した。

 

暗がりに光るペンライトの帯。興奮気味の中高生の声援。脚は攣ってても自然と気持ちは上がる。気持ちいい下りは脚も節約できそうな気がした。すると右から新たなお姉さんがいい感じで抜いてきたので後ろにつかせてもらうとすぐに39kmを迎えた。ほぼ同時に鳴るアラームは貯金がなくなったことを示唆していた。35kmまで40秒以上あった貯金を足攣りによるペースダウンで全部吐き出してしまったのだった。

 

 40km通過  想定2:59.38 実際2:59.36 タイム差 -2秒


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38km地点声援に力なく応える著者(左)と偕楽園からお世話になってるおじさん(右)    

先生の奥さん撮影

 

40km〜Finish

トンネルを抜けると平坦な道になった。ここは事前想定ポイント激坂前最後の平坦エリア。激坂前にここで貯金をつくっておく必要があった。脚は攣ってるけど行くしかない。さっきのお姉さんとはここでさよなら。あと2.195km。駒沢1周分!いつも最後の2.195kmは普段から走ってる駒沢公園の1周分だけだと思うようにしてる。

 

脚は相変わらずだけど抑え込めてる!貯金を作るんだ!!ちょうどいい感じに千波湖でお世話になったおじさんが再び登場したのでついていくとちょっとだけペースを上げられた(後でログ見ると瞬間的に4:20/kmくらいで行けていた。)

 

そして41kmで例の激坂を迎える。力尽きたのかおじさんはいなくなったがもう他人は関係ない。貯金はできただろうか?さっきから時計は見ていない。脚もきつい。呼吸もきつい。登り切ってもゴールまではあと800m。ここで果てるわけにはいかない。激坂の頂上付近には茨城に来るとお世話になる奥久慈の先生と先生を通じて知り合ったイセヤマさんが声をかけてくれた。

 

 

「がんばれ!」

 

 

 

2人とハイタッチして気合が入る

 

 

 

 

なんとか登りきる

 

 

 

 

残り800m

 

 

 

 

あとは爆走あるのみ

 

 

 

 

 

攣ってる両脚は相変わらずだけどそんなこと構ってられない

 

 

 

 

 

行くしかない

 

3:10切りに足がかかってるんだ

 

とにかく進め

 

 

 

 

 

最後のコーナーを回ると遠くに見える「FINISH」の文字

 

 

 

 

 

42kmのポイントが迫る

 

 

 

 

 

42kmの30m手前

 

 

 

 

 

ここでアラーム

 

 

 

 

 

少し遅れたか

 

 

 

 

 

バッファで30秒確保してるからまだ60秒近くあるはず

 

 

 

 

 

200m 60秒!

 

 

 

 

 

まだいける!

 

 

 

 

「ひでくんがんばれ!」

 

 

 

 

 

 

沿道から先生の奥さんの声援

 

 

 

 

 

 

さっき千波湖から見てくれてたのにこんな短時間でゴール前まで来れるのかな?

(ほんとにこんなこと考えてたので我ながらすごい)

 

 

 

 

 

迫るFINISH

 

 

 

 

 

迫る時間

 

 

 

 

 

 

 

ゴール前の大きなSEIKOの時計が3:10に変わる

 

 

 

 

 

 

 

あれはグロスだから大丈夫!

 

 

 

 

 

 

あと何秒ある?

 

 

 

 

 

 

あと20m!

 

 

 

 

 

 

ここでこの日一番の攣り

 

 

 

 

 

 

 

 

姿勢が保てない

 

 

 

 

 

 

 

 

今までで一番長い、たった20m

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

今までで一番不格好なゴールを遂げたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Finish時間 3:09.45 (想定3:09.30 タイム差 +15秒)

 


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ゴール直前ひどい足攣りでバランスを崩す著者(先生の奥さん撮影)

 

 

レース分析(少し)

ゴール直後は安堵感というよりしばらく時計を見てなかったので10分切りできたかなという不安のほうが強く、時計を見て初めてうれしさが込み上げてきた(切っててよかった!)。

 

改めてレースデータを見ると心拍数がゾーン4と5を行き来していて閾値ギリギリを攻めていたらしい(レース中はまったく心拍数を見てなかった)。そしてタイムは想定から+15秒。念のためバッファで30秒見ておいたのがまさか最後の最後に効くとは…。

 

終わってから考えると事前の目標設定が適切だったことと、レース中は終始ペースを乱さずもっと行けるかもという気持ちを我慢してほぼイーブンペースで走れたことが目標達成の最大の要因だったと思う。前後半のハーフのタイムはほとんど差がなく、後半は36km過ぎに両脚攣って、41kmで激坂もあったにしては相当粘れた。事前の戦略もペース配分もうまく行って会心のレースだった。

 

 

 前半 1:34.33(4:28.9/km) 後半 1:35.12(4:30.7/km)

 

 

無意識に黄色と赤のギリギリを攻めていた(上段)ペースも安定(下段)

 


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今後の課題

今回のレースに関しては目標設定もレース運びも100点だったと思う。今後は12月にITJ70k(トレイル)、2月に別大(フルマラソン)を迎え、別大が大本命特A級レース。ここでサブ3に挑戦したいと思っているけど達成にはまだスピードがかなり足りてないと感じている。ただ急に速くなることはないしやることは今までと変わらないのでできることを淡々と続けて行きたいと思う。

 

 

ゴール前500m とにかく進むしかない著者

【レースレポート】激コースに撃沈!第70回勝田全国マラソン

1/29、勝田全国マラソン走ってきました。去年の3月からこのレースに照準を絞って調整してきましたが結果は目標の3:10に及ばず3:18(ネット)で不本意な結果に。今回はこのレースの振り返りをし、次回で過去のレースと比較しながら分析したいと思います。

 

 

レース前

当日朝

水戸駅前のホテルに前泊。あまり寝れなかった。6時おきで朝ごはん後に30分散歩。寒いが良い天気で風なし。経口補水液をちびちびのむも500ml飲みきれず。8:55水戸発勝田行きで会場へ。


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会場入り

9:15にはスタート会場の石川運動ひろばへ到着。受付がないスタイルで適当な場所を見つけて着替え、アップの前にトイレ行っとくかーと会場内のトイレの行列へ。これが間違いでトイレに到達するまで25分かかりトイレ待機中にストレッチをしてたとはいえほぼアップができなかった。その場でマウンテンクライマーで心拍数を上げてから急いでブロックへ向かうと運良く友人たちに遭遇。あとから聞くと会場外のトイレは比較的空いてたらしくトイレの選択を間違ったみたい。

ブロック整列

Dブロックはちょうど陽が射していてあんなに寒さ対策を考えていたのがあほらしくなるほど。日向はぽかぽか温かかった。天候は最高で言い訳ができない。ウィンドシェル着て走ろうと思ってたけどこんな天候なら最初から脱ぐことにした。友人と一緒にスタートを迎えるのは初めてだったけどおかげで緊張もせずリラックスして臨むことができた。友人のもといくんとは目標タイムが近いこともあり30kmまでは4:35/kmで並走していこうと約束。

【レース準備】勝田全国マラソン 寒さ対策編 - われ、走らんとす。

レース

スタート〜5km▶ 0:23:15 / 23:15 / 4:39/km  ( NET TIME / LAP TIME / LAP SPEED )

スタート直後は渋滞すると聞いてたけど思ったよりは流れてたのであまり気にならなかった。1kmも走るとペースが安定してきた。予定通りもといくんと並走するとリズムも生まれてきたしなかなか調子良い気がする。意識するのはとにかく脱力。ちからを入れるのは着地時のみ。それ以外は脱力してとにかく楽に。片足ずつ乗る。尻に乗る。脚は使わない。

 

5〜10km▶ 0:45:17 / 22:32 / 4:30/km

 

うまく脱力して反発をもらえて走れていた。こんなに楽にスピード出せてるのはいつぶりか。4月から取り組んできたフォーム改造とここ三ヶ月のスピード練習の成果が見えた瞬間だった。全然筋肉を使っている感じがしない。腕振りはしっかりしつつ上半身も脱力できている。こんなにフォームが噛み合ったのは初めてかもしれない。ペースは更に上がってしまい予定の4:35/kmを超えて4:30/kmへ。気づくと7kmの給水が真横に来ていた。しかもテーブルが思ったより短くて結局給水できなかった。こんなこともあろうかとポケットに経口補水ゼリー200mlを忍ばせていたが1時間で摂取した水分はこの200mlのみ。僕は汗かきなので本来この倍は飲まないといけないし、最後まで垂れずにゴールした水戸では全給水所で紙コップ2つ分は飲んでいた。そして右ふくらはぎにかすかに違和感が生じ始めた。

10〜15km▶ 01:08:14 / 22:27 / 4:29/km

調子がいいのでスピードが出てしまう。14kmの急坂の下りでは最速3:51/kmで駆け下り、直後の上りも落ち込みをキロ5までに抑え平地へ到達。結果的に前の5-10kmよりも5秒速くなった。一方で右ふくらはぎのかすかな違和感は次第にはっきりとした違和感に変わっていた。 

15〜20km▶ 01:32:26 / 23:52 / 4:46/km

17km過ぎてついにその時が来た。違和感はもはやごまかせないほど大きくなり右ふくらはぎはビクンビクンと痙攣。たまらず道端で完全停止(グラフの青線が急激に落ちてる箇所が立ち止まった箇所)。

 

「ひでさん!?」

 

直後、少し後ろを走っていたもといくんが抜いていく。呼びかけに力なく右手を上げて応えるがもはやついていけない。少しずつ進むも18kmで左脚も逝く。またやってしまった。フォームやペースのことばかり意識して一番大事な給水のことをすっかり忘れていた。コムレケアを飲むもこの状態ではもはや自己ベストは望めない。ハーフも行かないうちに自己ベストへの挑戦が終わるとは。この半年のトレーニングが水の泡になり、やる気が急激に失われていった。そういえば友達が20kmで応援してるって言ってたっけ。そこまでは行くか。その後はリタイアしようか。

20〜25km▶ 01:55:20 / 23:14 / 4:38/km ( HALF▶ 01:37:11 )

20km地点の友達にはなんとか走る姿を見せられた。もう両脚が逝ってるのであんまり元気がなかったが「おーい」と力なく手を降るとなんとか気づいてもらえた。しかしその直後、痛くてたまらず大停止。挨拶も果たせたしもうDNFでもいいかと思うが、コムレケアが少し効いてきたのかその後しばらくは止まらずに走れた。すると気分が変わるもので「これが今期最後のマラソンだし修行だと思ってがんばるか」という気持ちになった。ハーフのタイム的にはまだセカンドベストが狙えるし気を取り直して最後まで行くことにした。

脚攣ってる




 

25〜30km▶ 02:19:05 / 23:45 / 4:45/km

足攣りは少しよくなったが断続的にビクンビクンと痙攣しペースを一定に保つことはできなくなっていた。心拍数もゾーン5の時間が多くなりゼエゼエハーハーと心肺は限界に。息が荒すぎて前のランナーがびっくりして振り返る。今すぐ止まりたいという気持ちでいっぱいだったがなぜか不思議と走れる。そして勝田名物3連アップダウンを迎えるのだった。

30〜35km▶ 02:42:49 / 23:44 / 4:44/km

この区間はデータを見てもわかるように3連続で続く長いアップダウンがきつくもう死んでいる脚に更に追い打ちをかけられた。この3連アップダウンは直線上にあるため坂の頂点からは地面が巨大な波を打っているように見える。メンタル的にもきついところだった。心拍ゾーンもほぼ真っ赤。コムレケアの効力もとっくに無くなっていてとにかく両足が痛むがそれでもなんとか前の5kmからタイムを落とさずに来れた。ちょうど35kmの通過点ではもといくんに遭遇。もといくんも急に脚に来てしまったらしく盛大に垂れていた。

 

35〜40km▶ 03:07:51 / 25:02 / 5:00/km , 40km〜Finish▶ 03:18:27 / 10:36 / 4:49/km

あと7km。肉体もメンタルも限界の中での7kmはとてつもなく長かった。長い長い直線に最後まで容赦なく続くアップダウン。足攣りが止まらなくてこの5kmのラップはキロ5まで落ちた。それでもキロ5で粘っている点に成長を感じるが、ここ数年のマラソンで一番きつかった区間だった。

 

40kmを過ぎると最後の2.195kmは無我夢中だった。タイムなんてもう気にしていられない。とにかく呼吸も脚も全部辛い。今すぐに止まりたい。でも早くゴールしたい。最終コーナーを曲がったところで茨城に来るとお世話になっている先生の奥さんから声をかけてもらえてスイッチが入った(びっくりして禄に反応できずすみません!)。何故か40kmからは足攣りが無くなって少しだけどペースを上げて走ることができた。やっとゴールの石川運動広場に入ると時計が3:19を回ったところでここでやっとタイムを認識。3:20切りたいと今まで脚が攣ってたのが嘘のようにダッシュでゴールに飛び込んだ。

ゴール直前。苦しそう。

振り返り

10kmまでは理想的なペースで進めたがまさかの17kmでの足攣り。その時点でこのレースは自分の中で終わっていたが気持ちを立て直してよく走れたと思う。特に前半の走りは4月からやってきたことの成果が表れた区間だったし、攣ってからは下半身がいうことを聞かない状態で腕振りで走ることができた点もよかったと思う。

 

攣ってしまったのはペースが原因というよりも給水の失敗が大きいように思うので給水の少ない勝田では少々重くても水分を多めに携帯したほうが汗かきの自分には良さそう。

net time 3:18:27(セカンドベスト) gross time 3:19:47 

 

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【レース準備】勝田全国マラソン 寒さ対策編

1/29に迫った勝田全国マラソン。大会前に経験者から情報を仕入れてきましたがどの人も必ず言うのがその「寒さ」

 

 スタート時刻で-4℃の年があった

 

 とにかく寒い

 

 鼻水凍った

 

今年も天気予報見るとやばそうです。つまり寒さを制す者が勝田を制すと言っても過言ではありません。今回はレース時のウェアリングを中心に勝田全国マラソンの寒さ対策について書きます。

 

 

ウェア編

ヘアバンド

太めのものなら耳も隠せます。耳冷たいのきついです。

 

バフ

首に巻いたり口元を覆ったりできます。熱くなっても着脱自在で邪魔になりません。

 

ベースレイヤー

登山なんかで使うアミアミのやつです。Tシャツの下に着ます。これ一枚あると空気の層が一つ増えるので全然違います。汗をかいてもすぐに肌から離してくれるので汗冷えも防いでくれます。有名どころだとミレーのドライナミックメッシュ、ファイントラックのドライレイヤーベーシックなどです。ドライナミックメッシュは見た目がかなり変態です。ワークマン等の作業服店で安価で同じような機能のものがあります。袖のあるものよりノースリーブタイプが季節問わず使えるので便利です。

 

腹巻き

お腹の冷えに弱いのでモンベルの腹巻き愛用してます。これのいいところは熱くなったらサッと下げられて邪魔にならないところです。これもワークマン等の作業服店で安価で同じような機能のものがあります。僕はベースレイヤーの上に着ます。

webshop.montbell.jp

 

 

ハイソックス

カーフスリーブでもいいんですが、靴下とカーフスリーブのすき間が寒いんで僕はハイソックスです。ランニング用のハイソックスってすごい高いのでサッカー用のソックス履いてます(笑)特に問題ないです。タイツ履く人はそれでOKだと思いますがすき間だけ作らないように。

 

追記

五本指ソックスと普通のソックスではどちらが温かいか?実は普通のソックスです。一見布に覆われる部分が多いので五本指のほうが温かいと思われがちですが、実は普通のソックスのほうが温かいです。理由はこう考えるとわかりやすいんですが、5人の人がそれぞれ一人一室にいるのと、5人が一室で背中を合わせて集まったのとでは5人一室のほうが温まりますよね?靴下も同じで一室で肌同士が触れ合うほうが温まります。

www.nike.com

 

アームスリーブ

これも必須ですね。僕はC3fitを使ってます。中には冷感効果のあるものもあるので間違わないようにしましょう。

手袋

これもできれば山用のものがいいです。ラン用のは生地薄いのが多く風を通すので冷たいです(山用のも通しますがだいぶマシ)。僕はブラックダイヤモンドの使ってます。注意したいのは給水時に水が手袋にかかってしまうと手が冷やされて深部体温まで下がってパフォーマンスが下がってしまうことです。できれば給水時は手袋を取ったほうが良いです。

 

ニトリル手袋(パウダー入)

これは登山技術のひとつなんですが手袋の下にパウダー入のニトリル手袋を履きます。台所の食器洗いで使うような手袋のことです。粉付きと粉なしがあるんですが粉付きだと蒸れずにサラサラを保てます。なぜ手袋の下にニトリル手袋を重ね履きするかというと水に濡れないようにするためです。末端が冷えると本当に凍えますし、ジェルもうまく切れません。手の冷えはパフォーマンスに直結します。ただネットで探しても100枚単位でしか売ってなくて買うか迷ってます。

ウインドシェル

トレランなんかで着る風よけの上着です。極薄素材で軽量で畳むとポケットに入るくらいのがいいです。僕はTNFのインパルスレーシングジャケット使ってます。スタート前やスタートしてからもしばらくは着ているつもりです。

 

あとは強いて言えば、スタート前に100均のレインコートや大きめのゴミ袋を被っておくとかですかね。

 

番外編

サロメチールL(温感タイプ)

これ実は僕の秘密兵器です。すでに何回か試してみたんですがやばいです。液状で最初塗ったときはスースーして全然暖かくないじゃんと思ったんですが、その1時間後。塗った箇所が燃えるように熱い。製品の注意書きに「汗をかくと刺激を強く感じることがある」とありランニングでかいた汗と反応して熱が発生したものと思います。一度塗ると2-3時間温感が続きます。しかも本来は鎮痛消炎薬なのでそもそもの効果は「筋肉痛」「筋肉疲労」の軽減。温感もあって疲労も軽減。いいことしかない!

 

試してみてわかったことは

・塗りすぎるとやばい(燃えるような熱さ)。一度手のひらに取ってから患部に塗ると良い。

・肌が露出している箇所に塗っても熱さは感じない。

・衣服で覆われているところに塗ると温かさを感じる

 

僕はレース前に手足の指、肩甲骨周り、腹部、腰、臀部、ハムに塗ろうと思います。人によって肌に合う合わないがあると思うのでぶっつけで試さず事前に何回か試しましょう。

 

ちなみに近所のドラッグストア3軒回っても温感タイプはなかったのでヨドバシ.comでかいました。注文後2日で届きました。

カイロ

貼るタイプをベースレイヤーに、貼らないタイプを手袋の中やパンツのポケットに仕込んでおくといいです。

 

トイレ

寒いとトイレが近くなりますがトイレは躊躇せずギリギリまで行きましょう。僕はたとえ整列が遅れてブロックの最後方になってもトイレを優先しようと思います。レース中のトイレは致命傷です。勝田はレベルが高く多少スタートが遅れても周りが速いのでロスは少ないと思います。レース前の水分補給も最小限にするつもりですがその分レース中はたっぷり給水するつもりです。なお、事前の水分補給量の目安として尿が透明〜薄い黄色なら水分は足りてるのでそれ以上飲まなくてもいいです。

 

フラスクボトル

どんな対策しても手がかじかんでジェルの封を切れない可能性はあります。それを防ぐためにはそもそもジェルの封を開けなければいいじゃない!ということでフラスクボトルです。僕はこれにジェルを溶かして携帯します。蓋を上に持ち上げれば吸えるのでだいぶ楽です。

【レースレポート】第七回水戸黄門漫遊マラソン

水戸黄門漫遊マラソンの忘備録。もうすぐ本命の勝田なのでその前に投稿(セーフ)。

 

レース当日の準備

前日は勝田駅付近のホテルに宿泊(水戸でホテル取れなかった)。いつもスタート時間から逆算して起床時間を決めている。水戸は9時スタート。起床は5時。起きてすぐに朝食を済ませ20分くらい散歩するのがルーティーン。起きてすぐの朝食は胃袋が厳しい人もいると思うが自分自身はあまり気にせず食べられるタイプ。散歩は1月に走る予定の勝田全国マラソン会場の石川運動広場までの往復2km。次戦の下見も兼ねられて一石二鳥。

 

会場入

水戸駅には7時過ぎに到着。ゼッケンの番号別に受付が異なる。受付を早々に済ませてウォーミングアップゾーンへ。会場の端っこにあるだけあって全然人がいない。ここで8時過ぎまでアップと栄養補給、トイレを済ませいざスタートラインへ。案外遅くなってしまいスタートブロックに並んだのは8:45。Bブロックの一番うしろになんとか滑り込んだ。

 

スタート〜5km LAP 25:49 5'09"/km

スタート前にちゃんとトイレに行ったのに走り出した直後から尿意をもよおす。トイレを探していたら沿道のディーラーでトイレを開放してたので利用させてもらった。2分ロス。時計は見てなかったけどペースはキロ5くらいだった様子。

 

5km〜10km LAP 23:29 4'41"/km

レース前の練習で調子が良くなかったので入の5kmは様子見だったけどなんとか大丈夫そうだったので自分の心地よいとちょっときついの間くらいのペースで行くことにした。

 

10km〜15km LAP 23:35 4'43"/km

特になし。

 

15km〜20km LAP 23:50 4'46"/km

折り返しの橋もあったけどなんなくクリア。

 

20km〜25km LAP 23:23 4'40"/km

この日最速ラップを記録。まだまだスタミナは問題なし。ペースは上げられないけど下がりもしない。このままのペースで押せそう。

 

25km〜30km LAP 23:56 4'47"/km

このあたりで前方でいい感じで走ってる人を見つけて並走してパワーもらう。一言も話さなかったが33kmくらいまで一緒に行った。

 

30km〜35km LAP 24:15 4'51"/km

偕楽園千波湖。道が狭く人を抜くのに蛇行が必要だったのとそもそも道がくねくねしてて走りにくかった。初めて疲労感を感じたけどまだ足は残ってる。

 

35km〜40km LAP 24:44 4'56"/km

一人旅になってペースがよくわからなくなってきた。トンネルに突入したらパリピ空間が広がってて下り基調なのも手伝ってトンネル内はキロ4で走ってた。

 

40km〜Finish LAP 10:36 4'49"/km

折り返して噂の激坂へ。普段の坂練の成果で抜きまくる。登りきったら後はダッシュ。ゴール直前で右股関節が攣りそうになったけど抑え込んでセーフ。

 

タイム 3:23:37(ネット)4'49"/km 【3rd Best】

 

スタッツ⇓

https://flow.polar.com/shared/7e7183b64cfed589170d87c3f26054f8

 

評価

夏からの疲労感が抜けず大会5日前にオーバートレーニング症候群を疑って病院へ行ったほどの調子の悪さだったけどスロースタートが功を奏してなんとか悪くないタイムで走ることができた。LSD的な練習を豊富にしていたので長く使える脚はできていたと思うがスピードが全然上がらないので勝田に向けてはスピード練を重点的にやる(実際やってる)。

 

オーバートレーニング症候群については明確な診断が難しいらしんだけど、自分の症状としては疲労感が抜けないことと、最大心拍数が夏を超えて10以上低下(205→194)していてエンジンを噴かすのが難しくなってしまったように感じる。閾値も下がっていて2021/11のぐんまマラソン時の閾値は4'15"/kmで今は4'35"/km。走れば走るほどタイムが下がっていくような感じで実際水戸の1週間前に参加した5000mTTでは過去2年の最遅タイム(20:38)を出すなど調子はここ数年で最悪だった。今も心拍が上がらずエンジンを噴かせない感覚は続いているけど、この体と付き合っていくしかないかと思っている。失くしてしまったスピードを取り戻すため今はLT走とインターバルを中心にメニューを組んで勝田に備えている。

 

【レースレポート】豪雨!! 第9回 筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか ロング75k

1ヶ月以上前なんですがまたレース出たんで書きました。読んでください。

 

 

エントリー経緯

 

「夏の走り込みにぴったりのレースがあるよ!」

 

筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか

 

なんとも長い名前のこのレースを知ったのは5月末のOSJ奥久慈50kに一緒に参加したFさんからの一言だった。そのとき「ふーんそんなレースあるんだふーん変な名前!」と軽く流していたが(失礼)、このレースに出ることにしたのは倍率1.1倍の北海道マラソンにまさかの落選。さらに信越五岳とハセツネにエントリーできず、代わりにと今期秋冬のロード勝負レースに設定した水戸黄門漫遊マラソン(10月末)に向けて走り込みのレースを探していた6月にふと思い出したからだった。

 

調べてみるとなんとも興味深いレースだった。コースはショート25km、ミドル48km、ロング75kmありすべてロードを半分走ってからトレイルに入るようになっている。「ロード&トレイル」とはそういう意味。ロングには34km地点で靴履き替えサービス(予め預けておいたトレランシューズに履き替えられる、ドロップバッグ)がある。つまりロングに出ればフルマラソンに必須の30km走ができる上にトレイルも35km走れて一石二鳥のオトクなレースなのだった。しかもやばいのが開催時期。引き続き猛暑猛々しい8月最後の日曜日に行われる。この猛暑で2019年前回大会のロングの完走率は53.7%、2018年に至っては31.9%まで落ち込むハードボイルドなコンディションとなっていた。しかも地味にITRA3。

 

「こ、これはロングに出るしかないっしょ」

 

そうして「筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか ロング75k」への参戦を決めたのだった。

 

レース概要

ロングコース

ロング75kmは、34kmまでアップダウンの続くロード、34-70kmまではトレイル、最後に平地を5kmというコース。前半ロードで飛ばしすぎると灼熱のトレイル区間でバテてしまうのでロードは省エネ走行が求められる。

 

距離は75km、獲得標高2900mなのでこの数字だけ見るとそれほどきつくなさそうなのだが、2900mのうち前半のロードが500mほどで後半35kmのトレイルで残りの2400mが待っている。そう見るとトレイルパートはなかなかきついことがわかる。いいじゃないかいいじゃないか(孤独のグルメ風に読もう!)

レース準備

暑さ対策としてベンチレーション抜群のTNFスリーブレスベントスピードクルー、帽子とコロンビア アームカバー フリーザーゼロII。パンツは迷ったが数日前に滑り込み入手した走る練習カルトタイツの調子が良さそうだったのでこれに決めた。シューズはロードNike Vaporfly  Next%2、トレイルNike Wildhorse 7。靴下はロード区間はoleno、トレイルはお気に入りのT2 ultraで(自分のとこの履けと言われそうだが泥々になるのが嫌で…(後述))。

目標 

50位以内 10時間切り 最低でも11時間切り

今回の目標は50位以内に入ること(エントリー約200名)。理由はリザルトの1枚目に載るのが50位以内だから!そのためには10時間切りは安全圏、最低でも11時間切りはしたいところ。

レースプラン

暑さが厳しそうなので前半ロードをキロ6-7で3時間半〜4時間以内でまとめる。後半は6時間前後で走る。苦手な登りは頑張れないので得意な平地と下りで頑張る。ラストの平地は30分で。(が、このレースプランは前日に崩れることになる)

その他、Stravaで筑波連山出るよと書き込んだところ奥久慈で出会った先生から応援に行くよというメッセージ!しかも素敵なアドバイス付き。燕山の木段がなかなかきついらしい。先生はどこまでも先生だ。46kmの洗心館エイドで待っててくれるとのこと!そこまではなんとか元気に走りたい。

前日移動

ロングは前日受付が必須なので前泊も必須。大会前日の石岡駅は快晴。駅から会場へのシャトルバスが出るまでに昼食を済ませておく。20分ほどで会場へ到着。受付をささっと済ませ駅前に戻って近くのスーパーで翌朝の朝食を調達。晩御飯は目当てのところが閉まってて泣く泣く近く丸亀製麺

 

しかし数日前まで猛暑猛暑と思っていたこの大会だが天気が怪しい。前日の天気予報によればロングスタートの午前5時から雨が降り出し数時間後には10mmを超える豪雨。そして山を降りる15時には止んでいるそうで最高気温も25度。灼熱のはずが下手したら同日の北海道マラソンより涼しそうじゃないか。レースプランは修正が必須だけど後半のトレイルが雨でどんな状態になっているか想像がつかない。前半は少し速く走れたとしてもトレイルがどうなっているか。

 

丸亀うまいから良し
宿はなんかキャッスル 部屋普通

レース本番

緊張のスタート。この直後から雨。
ロード区間34km

午前5時。薄暗い中でロングがスタート。直後から予報通りに小雨がパラパラ。しばらくは田園と古民家風の建物が広がるのどかな風景。5kmも行くとだいぶバラけて来て走力が近い人達がなんとなく固まるようになった。ペースはキロ5分ちょっとで想定より早いが気温が低いせいだろう。とはいえロードはあと30kmもある。暇である。暇なので近くを走っていたおじさんに話しかけてしばらく並走。おじさんは推定年齢50前後で調布から来たそうでこのレースを走るのは初めて。これまで走ったレースなんかをお互いに話してるうちに17kmの第三エイドでおじさんがトイレのためここで別れることになった。まだロードは半分近くあるのにさびしい。早くもおじさんシックである。

 

▼第三エイドで誰かの動画に映り込んでた(主役級扱い!)

 

エイドを過ぎると雨が勢いを増してきたので帽子を装着したが豪雨過ぎてツバが前に垂れて視界が狭まる。でも顔に雨が当たらないだけいい。アップダウンある道を一人また一人と抜いていく。しばらくすると一人旅になった。集中できているのか雨の音しかしない。淡々と刻んでいく作業は嫌いではない。雨が帽子に当たる音を聞きながら下を向いて再び淡々と進んでいく。

 

静か。でも静かすぎる。

 

そんなことを思ったところで別れ道。

 

あれ地面に矢印が見当たらない。どっちが順路?運営怠慢かよちゃんと矢印書いておいてくれないと困るよ。仕方ないから後ろの人が来るまでちょっと待つか。

 

数分経っても誰も来ない。雨は激しさを増すばかり。そして気づく。

 

(ロスト?)

 

慌てて念の為持ってきていた紙の地図を取り出すが雨がやばい。ビニールに入れて来てたのは良かったけど紙地図見てもいまいち自分の現在地がわからない。スマホのmapと照らし合わせて現在地を確認しようとするも雨で画面が濡れてうまく操作できない。

 

(えええピピピンチあqwせdrftgyふじこ!)

 

とにかく焦ったが数分の格闘の末なんとか現在地を把握(地図の読める男)、コースに戻れた。どうやら帽子が重くて下を向きすぎたため曲がるべき矢印を見逃していた模様。コースにはちょっと前に抜いた見覚えのある人たちがいたので10分はロスしたか。まさか市街地でロストするとは...筑波連山恐るべし。

 

コースに戻ってからはロスト分のタイムロスの焦りも少なからずあり少し飛ばした。しかし舗装路とはいえアップダウンのある道。段々とダメージが蓄積していたようで27kmで両ハムが攣りかけた。5分歩くと回復したので大事に至らなかったが後半のトレイルが丸々残っている状況でハム攣りは不安過ぎる。雨はさらに勢いを増してもはや帽子が意味をなさないので脱いだ。

 

そうして34kmのロード区間終了まであと数キロというところでまた近くの人に話しかけた(どんだけ)。年齢は自分より少し上くらいに見える屈強な印象の男性。なんでも先日の自分も走った奥久慈50kを11時間完走(自分より2時間早い!)、来年のUTMF出場を目標にポイント目当てでこのレースに参加したそう。今年は他に奥三河、美しが丘を完走。100kmクラスの大会は過去にも何回か出ていて秋にはFTR100出場予定だとか。ロードの練習はせずひたすら山力を鍛えているという硬派なトレイルランナーだった。格上ランナーがまぶしい。

 

そんな話をしているうちについに34km地点ロード区間ラストのエイドに到着。ここまでの時間は3:23。ロード区間は3:30-4:00予定だったので想定より早く到着した。しかし強まるばかりの雨がここへ来て最高潮に。まさに土砂降り。エイドには雨を凌げるテントとかあるのかなーと期待してたがテントは荷物置き場と補給食用のテントのみで先着ランナーはみな野ざらしざらしでドロップバッグを受け取っていた。(パイプ椅子だけ用意してくれた)

 

今回、ドロップバッグにはシューズの他、靴下と着替え用ベースレイヤーを預けていたがバッグから取り出した瞬間に豪雨で濡れ、シューズ以外は替える意味がない。モタモタしてるとドロップバッグ内に水が溜まっていく始末。着替え、シューズ履き替え、補給食を詰め替えてエイドのナシなどをいただく。気づくと奥久慈11時間さんは先に出発したようでいなくなっていた。そしてエイドをあとにしたのが3:38。想定より着替えに手間取ってしまい15分も滞在してしまったがこれから想像すらできなかった魔のトレイル区間に突入していくのである。

トレイル区間 35km

トレイル区間に入って間もなくすると後ろから声をかけられる(逆に)。振り返ると先に行ったと思っていた奥久慈さんがいた。奥久慈さんは登りが強くグイグイ引っ張ってくれ心強い。しばらく一緒に進ませてもらった。やがてボラの立つ分岐があった。

 

ここからすべりやすいよぉっ!

 

どれだけすべりやすいのか見せてもらおうか。と意気込んだ直後コケる。ついでに足つった。なんだこのドロドロのトレイルは・・・。まともに立つこともできない。前を行くランナーが皆ロープや木にしがみついている。諦めて尻で滑ってみると立ってるより速く安全に進めた。パンツの中身の様子は気になるが尻に腹は代えられない。そうしてやっとこさドロドロゾーンを抜けたがまだトレイルは始まったばかりである。

 

その後林道とロードを超えて再びトレイルに。次のピークは吾国山。いつの間にか奥久慈さんがいない。吾国山からミドルの選手と合流するのでトレイルの様子が気になる。登りはゆるいようで走るときつい。登りが苦手なのでここでは無理しない。

 

やがてドロドロゾーンに突入。期待以上のドロドロウォータースライダー状態。先程会得した尻滑りで進むと尖った石に尻擦ってしまい痛いのですぐやめた。尻滑りは使えなくなったが木にしがみついてなんとか攻略。すでに全身ドロドロに。

 

そうして山を下り、林道をしばらくいくと名前を呼ぶ声が聞こえる。前方で手を降っている人が。そこには応援に来てくれていた先生が!奥久慈以来なのにちゃんと覚えていてくれるのはうれしい。一緒に来ていた奥さんにもご挨拶。次のエイドの洗心館まで数百Mを並走してくれ元気が出た。洗心館で一息ついていると奥久慈11時間さんも合流(奥久慈11時間さんは34km地点で白Tに着替えてしまい後悔していた)。ここでわかったのが奥久慈11時間さんは先生の友人で、さらにStravaでお互い顔も知らずに相互フォローしていた人だったことが判明!トレラン界隈狭すぎか。

 

そうして先生との再会をひとしきり楽しみエイドを後にした。ここまで48km、残りは30kmを切っている。長い長い舗装路の下りを終えると今度は舗装路の登り。走れそうで走りたくない絶妙な斜度なので全部は走れない。60秒走って30秒歩く戦法を繰り返してやっとトレイルに入った。次のピークはこのレースの最高到達点標高701Mの燕山。先生からきついと聞かされていた木段が出てきた。しかし奥久慈で300段超えの階段を経験している。クリアできないはずがない。と思ったら500段以上あって死。がなんとか山頂到達。山頂付近は霧が濃くひんやりしていて動いていないと肌寒く感じるほどだった。

 

ここから加波山、丸山を越え最後の足尾山へ。風車やパラグライダーの発射台があり晴れてたら景色がキレイそうな場所をいくつか通るが今日は濃霧でなにも見えない。足尾山はショートコースも合流してくるのでこれまで以上のドロドロが想定される。そして林道からトレイルに入る地点でボラから一声。

 

ここからさらにすごいとこだよぉ!(ニヤニヤ)

 

ニヤニヤめっちゃムカつく!と思いつつもトレイル突入。案の定これまでで最凶の下りドロドロウォータースライダーが待っていた。誰かの動画を拝借したので映像でご確認ください。(この人はミドルなのでこの後通ったロングは更にひどい)

 

 

やっとの思いで山を降りると70kmの文字。あとは平地5kmのみ!田んぼの間の長い長いあぜ道でおじさんに一人抜かされる。

 

抜かれ際に「坂で背中お見かけしてましたw」と一言いただく。マウント取られた気がして悔しいがスピードが上がらずおじさんにどんどん離される。もうあぜ道も飽きた頃にやっと舗装路に出た。ここぞとばかりに加速。マウントおじさんの背中が近づいてくる。ゴールまであと少し!

 

すると路上に手をふる人が。なんと先生!洗心館からここまで来てくれたらしい。生徒想いの先生を持った幸せを噛みしめる。最後にマウントおじさんを抜く勇姿を見せたいと気合が入りゴール前200mで大人気なくダッシュかましおじさんを抜き去りフィニッシュ!タイムは10:32:57であった。

左:ゴール前でマウントおじさんを振り切る 右:ゴールして傾く自分
がんばったが調布のおじさんは10時間切りを果たしていた・・・

 

レースを終えて

灼熱の太陽を想定していたらまさかの豪雨と低温、ドロドロウォータースライダーのエクストリームな展開のレースになったが最低限の目標の11時間切りは達成。順位も40位で無事リザルト1枚目に載れたので大満足!

 

帰りはドロドロとずぶ濡れのウェアやシューズ、参加賞のでかい梨四個で荷物重すぎ。電車に乗ってリュックで来たけどこれは車で来るべきレースだった。

  

ドロドロの装備を洗濯・・・

今後の課題

登りの走力:登りはトレーニングの成果もあって以前よりは登れるようになったが長い登り林道を走りきれる力がない。途中で登りで抜かれ下りで抜き返すデッドヒートを演じた人(先着された)がいてゴール後に話したらやはりゆるい登りで走れないとタイムが出ないので意識していると言っていた。近所の激坂練がんばろう。

 

エイドワーク:それぞれのエイドで結構ゆっくり過ごしてしまったが今後順位やタイムを狙うならこのへんはパパっと済ませられるようにしたい。具体的には水の入ったフラスクをザックに戻すのが苦手なのでフラスクではなく硬質なボトルにするとかアイテムの面からも改善できる点があるように思っている。

 

以上レポートでした。

年内出たかったトレイルレースは全部エントリーできなかったんで結果的に筑波連山が最後のレースになりました。

 

次回は1年ぶりのフルマラソン水戸黄門漫遊マラソンです!

【レースレポート】奥久慈半端ないって!2022OSJ奥久慈50k完走記

2022/5/29。OSJ奥久慈50k完走してきました。8,000字超の大作だから時間あるときに見てくれよな!

 

エントリー経緯

奥久慈50kにエントリーしたのは2020年12月。そのころ普段のトレーニングで高尾マンモス(距離42km・累積3,000m)を数回クリアし着々と距離を伸ばしていた一方でレースでは20km前後のショートしか経験がなくステップアップとして40km前後のミドルレースを探していた。そこで丁度目に飛び込んできたのが奥久慈50k。50kmだし関東だし丁度いい!と、これがミドルでは国内でも屈指の難コースだとは微塵も思わず何も調べずに即エントリーしたのだった。そして2021年は感染症の影響で延期となりやっと迎えた2022年5月の開催だった。

 

この間2021年12月の伊豆トレイルジャーニー(ITJ)70kを10時間47分でクリアしフルマラソンのベストも更新(3時間15分)。走力が上がり、よりミドルレンジに自信を深めていたのでハードと呼び声高い奥久慈といえど今なら難なくフィニッシュできると踏んでいた。決して舐めていたわけではないがレースが終わった今なら甘かったというべきだろう。

 

レース概要

さてここでレース概要を。OSJ奥久慈50kは茨城県北部を舞台にしたトレイルレースで観光名所の袋田の滝バンジージャンプで有名な竜神大吊橋を通るレース。「50k」という名称なのだが実際は59kmあり累積標高は約4,000m。参考までにITJ70kは実際の距離69km、累積標高約3,200m。ITJ70kに比べ距離は10km短いが累積標高はプラス800m。数字だけで比較すると距離と累積標高はプラマイゼロで10時間台でゴールできそうな予感(適当)。そしてリザルトの1枚目に載りたいねってことで前回2019年のリザルト1枚目に載るギリギリのタイムである10時間30分に目標設定したのだった。

 

例年の完走率は50%前後と高くない(600名参加、300名前後が完走)。調べると気温が高くなることと関門の厳しさ(関門時刻ギリギリの通過だとそもそも第三関門まで辿り着けない)からDNFというケースが多いようだった。Youtubeでは奥久慈の動画自体はそこそこ出てくるのだが完走してる動画が一つしか見つけられない。しかもこの完走者はチーム100mileというレジェンド鏑木さんのチーム所属の実績ある方だった。他にも参戦記を書いたブログがたくさん出てくるが「奥久慈半端ないって!」というワードがやたらと引っ掛かる。何やら危険な香りがしてくるが望むところである。普段のトレーニングから自信を深めていた私は何が来ても大丈夫という気がしていた。(ちなみに30kもあり実際の距離31km・累積標高約1,900m。50kの第二関門が30kのスタート地点になる。)

▼レース前一つだけみつけた50k完走動画。完歩で完走は化け物レベル。


www.youtube.com

レース準備

宿はスタート会場から徒歩10分の思い出浪漫館。温泉浸かって9時過ぎには就寝。翌日午前3時起床し朝食と排泄(ここ大事)を済ませ午前4時30分には会場に向かった。スタートは午前5時30分。携帯した補給食等はこんな感じ↓。水は補給箇所が多々あるので1Lでも足りそうだけど所々でもう500ml持っておいて良かったと感じる箇所があり1.5L持つと安心だと思う。補給食は全然足りた。

 

グミ(ほとんど食べず)/黒蜜パウチ200ml 2本/経口補水パウダー6包/芍薬甘草湯5包/水1.5L(500mlフラスク3本、内2本に凌駕・Challenger粉を溶済)/magon1個/topspeed(使用せず)/オレは摂取す1個/アミノバイタル6個分

 

タイムは事前にチャートを作った。直近過去2年のリザルトから各タイム付近でゴールした3名ずつ計6名のタイムを平均したものなのでかなり正確だと思う。これによれば完走するには最低でも第二関門(CP2)を午後12時00分までは通過したい。目標の10時間30分finだと午前10時40分には通過しておくことが条件となる。

区間タイムと関門到着時刻を併記。完走には遅くともCP2を12:00に通過したい。

 

スタート前、Fさんと。

 

レース本番

レース中は余裕がなさすぎて1枚も写真を撮っていない。申し訳ないが可愛い娘の投稿見つけたので癒やされてほしい。

 
 
 
 
 
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スタート〜CP1持方 

11km(実際2:06:07/目標1:55:01)

例年スタートしてから4キロはロードでここで遅れを取るとトレイルに入ってから大渋滞が発生し完走可否に直結するという話がわんさか出てきたので、荷物を預けてすぐ並び前から1/3辺りにポジションを取った。振り返るとかなり前の方だったらしい。一緒にきたFさんと握手を交わしゴールで会いましょうと意気込む。予定通りスタート直後は飛ばした。観光名所の袋田の滝を通るコースなのだが滝をみたのはほんの数秒。後からログを見るとトレイル入口までのロードは4:30/kmを切るペースで全体でも100位以内だったと思う。渋滞なく入ることができたのは予定通りだったがこの後が誤算だった。

 

かなり前の実力者集団に入っていたわけだが妙な自信があったので集団のペースに合わせ知らず知らずの内に飛ばしてしまったのだがこれがいけなかった。元々登りは苦手だったがトレーニングで苦手→普通まで克服してきたと思っていたが奥久慈の登りは想像の遥か上で特に白木山の長い長い急登には度肝を抜かれた。ロープが張ってあるが両手も使って登っていくような急登が延々と続く。ちょっと立ってみると後ろに仰け反って落ちてしまいそうなほど。なのに前の方につけてしまったのでみんな早い。スイスイ登っていく。Fさんには「ゴールで会いましょう!」なんてかっこいいこと言ったくせに登りで早々に抜かれていった。気づくと自分の後ろには人の列ができていた。渋滞に巻き込まれたくなかった自分が渋滞を作ってしまっていたのだった。(譲りました。)

 

きつい登りで早々と脚を使っていたが下りもきつかった。段差が大きく軸足を踏ん張らないといけない箇所ばかりで前ももが悲鳴を上げている。そんな登りと下りが小刻みに続く。太ももは表も裏も完全にキている。それなのにまだCP1にも達していない。走れるような箇所がほぼない。早くも脚が限界で登りも下りもフラフラに。心拍数を見るとゾーン4から下がってこない。速度的には抜かれまくるほど遅いのに呼吸は荒く心肺はオーバーヒート。既に限界近いのは明らかだった。(正直CP2までは記憶が殆ど無い。)

 

CP1〜CP2竜神大吊橋

15km(実際4:03:05/目標3:14:12)

やっとの思いでCP1に到着。水の補給を済ませるとすぐに出発した。あまり時間を気にしている余裕がない。ゆっくりしていたら座り込んでしまいそうな気がした。記憶が曖昧なのだがここでは何回か川を渡らされた。川のあるコースは飛び石とかあってなんとか濡れずに渡れそうなことが多いのだがこのコースは完全に濡れた。足が濡れると後で水ぶくれなど足のトラブルになりやすいので避けたかったのだが容赦なかった。ただ1回濡れるともう気にしてられなかった。

 

その後もここって道なの?という足一個分あるかどうかの細い道(本当にあれは道なの?)や落ちたら間違いなく死にそうな切り立った尾根、一人ずつしかいけない危険な鎖場、基本的に斜めってる細いトレイル、苔むしたり濡れてスリッピーな岩場が何回も何回も登場。脚がガクガクなのもあって本当に滑落しかけて「大丈夫ですか!?」と声をかけられること数回。そしてロスト1回。後ろから「ロストしてますよー!」という声で気がついたけど危なかった。

 

まじでやばい。まだ半分も来てないのに肉体的にも精神的にもズタズタにやられすぎている。こんな状態では完走すら危うい。「奥久慈半端ないって!」ブログでよく見た言葉が身に沁みる。何なら「奥久慈半端ないって!」Tシャツ着てる人がそこら中にいる。今自分がどこにいてどれくらい時間が過ぎているのかもわからなかった。辛くて、辛すぎていっそのことDNFしたいという気持ちが強くなってくる。CP2の関門は13:00だが過去データ的に完走にはCP2竜神大吊橋に12:00までに着くことが条件になる。こんな序盤でズタボロなら後半を乗り切れる気がしない。橋に着いてもし12:00を超えていたら残念だけどリタイアしよう、むしろ12:00超えててくれ!などとリタイアの言い訳まで本気で考えていた。

 

いつの間にかトレイルを抜け林道を走っているとついに橋が見えてきた。橋の手前には小さな私設エイドがありコーラで少し生き返った。(いつも思うけどこんなにコーラがうまいスポーツある?いやない。)

 

噂の橋に至る長い階段に臨む。どれくらい長いのかと数えながら登ったところ、10,20...100...200...まだある...300...。300から数えるのをやめたがほどなく階段を登りきった。登りきった先で「おおー!」と歓声と拍手で迎えられる。橋からの眺めはきれいだ。下を見ると吸い込まれてしまいそうになる。CP2と30kコースのスタート地点は同じなのでチェックポイントのゲートが豪華。ゴールしたような気分になってここでリタイアする人の気持ちが少しわかった。ゲートをくぐり時計に目をやると11:40だった。

 

「あ、、、12時越えてない...!」

 

まだ完走を諦めるような時間じゃなかった。すごく余裕というわけではないけれどしっかり完走圏内のペースで走っていた。脚は使い果たしているし辞めたい誘惑もあるけど何回出ても完走すらできない人もいるこのレースを完走するチャンスが残っているのだ。行けるとこまで行こう。そう切り替えて先に進むことにした。何よりこの先には赤岩エイドという私設の奥久慈名物エイドがある。これを見ずに奥久慈を終われない。そうやって動かない脚を気持ちで動かした。

 

CP2〜CP3釜の平

10km(実際3:38:42/目標3:04:09)

CP2を出るとすぐにトレイルに入った。話によると赤岩エイドはCP2を過ぎて30分ほどのロード上に出てくるらしい。ここはコーラあり、固形物あり、おばあちゃんありのこのレース最大のエイドでおもてなしがとにかくすごいらしい。楽しみすぎて道中で並走した男性に「もうすぐ赤岩エイドですね!」とウキウキして話かけると意外な答えが返ってきた。

 

「今年赤岩はないってうわさがあるんですよ」

 

なんと?私設と言えどこのレース最大の名物エイドがないなんてことあるのだろうか?にわかに信じがたい。誰かのブログで奥久慈完走のコツはCP2から赤岩までは30分ほどなのでCP2はさっさと出て赤岩で補給することとあった。なので赤岩には相当お世話になろうとしていた。赤岩のコーラを楽しみに走ってきたといっても過言ではない。赤岩を頼りにここまで来たのだ。その赤岩がないなんて…。

 

トレイルを抜けロードに出たがテントの気配がない。この先にあるのか?この先に違いない、と信じ走り続けるが一向に現れない。噂の真実味が一気に増した。というかなんなら30分はとっくに過ぎたしむしろロードを過ぎてトレイルに再突入した。信じたくないが噂は本当だった。赤岩はなかった。不幸中の幸いだったのは少し前に噂を聞いていたこと。聞いていなかったら赤岩がないことに心が折れ辞めていたかもしれない。噂を聞いて心構えができたのは幸運だった。(あとからOSJの公式FBを確認したらレース前日の説明動画の中で赤岩エイドは今年実施しないとはっきり言っていた。お年寄りが多いので感染症リスクを考え設置しないことにしたらしい。確認不足だねー)

 

しかしまだ半分以上ある。ここから一人でゴールまで行けるか不安だったので近くを走っていた見ず知らずの男性ランナーに声をかけた。お名前はYさんといい、Yさんも11時間でのゴールを考えていたが今は完走目標になっているとのこと。二人で引っ張り合いませんか?という共闘の提案をしたところ快諾してくれた。Yさんはトレイル歴10年近いベテランで2015年の奥久慈50kに挑戦し惜しくも途中リタイアという過去がある。その他ONTAKE100(100k)などの完走歴がある猛者である。今回の奥久慈50kには友人と二人で参加しているらしい。(結果的にこのナンパがこのレースで私の最大のファインプレイになった。)

 

そしてこの区間はまたしてもとんでもない道を進んだ。ジャングルのような道なき道を進みジャボジャボと川を渡り壁を這い泥に浸かり靴も尻もドロドロ。後でYさんとこの区間のことを話したときお互い自然に「アドベンチャー」という言葉が出たが奥久慈の醍醐味みたいなものが詰まっていた気がする。もはやトレイルランニングというかアドベンチャーレースの方がしっくり来る。(余談だがアドベンチャーゾーンの大岩に体育座りしている男性ランナーがいて声をかけたところ「ぼくここで妖精になります」との返答。彼は無事妖精になれただろうか…。)

 

なんとかアドベンチャーゾーンを抜けると30.7kmの砂防エイドが現れた。補給が完了しYさんとエイドを出たところでYさんの友人Oさんと合流した。Oさんはレース中に知り合ったというKさんを連れていた。そして自分を含めたこの4人でこれからの30kmを完走するべく即席のパーティーを組むことになったのである。

 

このOさんが連れてきたKさんは水戸在住のランナーでトレイル歴は2年ほどだが奥久慈完走のために試走を重ねてきたらしい。試走してきただけあってコースを詳しく解説してくれるし走るべきところと温存すべきところを的確に把握していた。そのナビぶりや安定したランニングは本当に頼り甲斐があって次第に皆で先生と呼ぶようになった。先生がいなければこの区間の長い林道を闇雲に頑張ってしまい潰れていたと思う。先生の話によればまだ12時間半でゴールできるペースだそうだ。ちなみに先生曰く奥久慈はきついからこそ「癖になる」ランナーが多いらしい。

 

そして34.7kmの東金砂神社エイドに到着。水分補給をしているとエイドスタッフから「お知り合いがあちらでお呼びです」と声をかけられる。はて?誰かエイドのスタッフに知り合いいたかな?と行ってみるとなんとそこにはCP1で颯爽と急登を走っていったFさんが!なんでもFさんはCP2を私より40分も早い11:00に通過したものの熱中症による頭痛がひどくこのエイドでDNFを決めたという。この日の最高気温は33度。夏を先取りしたかのような容赦ない暑さがランナーを苦しめていたがFさんまで…。快調にとばしていただけにFさんも悔しかったと思うがFさんの分まで完走を誓ってエイドを後にした。(Fさんはその後無事帰宅したそう)

 

この区間では特に私設エイドに助けられた。赤岩がなかったのは残念だったが民家の前で小さなエイドを出してくれている人が頻繁に現れ水分補給に困ることはなかった。シャワーをかけてくれるところもあって本当に助かった。その後も先生のナビ通りに抜くとこは抜き走るところも無理せず走ることを繰り返しCP3釜の平に到着した。

 

CP3〜CP4持方 

5km(実際1:01:14/目標0:47:41)

釜の平から次のCP4持方までは林道を進んだが正直記憶があんまりない。景色が変わらない林道地獄に苦しんだが4人で励まし合って切り抜けた。私以外の3人はポールを使っていたのだがポールを使わずにここまで走れているのはすごいと褒められた。奥久慈ではポールを使って前半脚を温存するのが完走の常套手段なんだとか。そもそもポール持ってなくポールを使うというアイデア自体がなかっただけなのだがうれしい。(むしろあのアドベンチャーゾーンをポールを持って走ってたYさんのほうがすごいわ。)

 

CP4〜ゴール 

8km(実際2:08:19/目標1:27:00)

第四関門持方に到着。第三関門ではなぜかされなかったライトチェックを受け無事点灯。我々より先についていたランナーも少なくなかったが胃腸トラブルでリタイア席に座っている人も数人いた。ここまで来てリタイアとはさぞ無念だろう。

 

CP4では水を補給し近接する私設エイドで固形物(味噌こんにゃく、うめぼしなど)をいただき出発。あと8km。全歩きでもゴールできる時間的余裕がある。ここからは最初に入ってきたトレイルを逆走する形になりあの苦しめられたギザギザの急登急降下が待っている。しかし最初と違うのは今は4人で進んでいること。先生が導き生徒であるOさんYさんと自分がついていく。励まし合える仲間がいるというのはなんと力になることか。先生もきついだろうにそんなことは微塵も感じさせずにすれ違うランナーにさえ励ましの声援をかけ続ける。人間性が神すぎる。最終盤のアップダウンを迎えたころにふと振り返ると後ろには我々3人以外にも4,5人着いてきていた。みんな先生に導かれているかのようで益々先生が神々しい。不意に「ハーメルンの笛吹き男」を思い出した。ドイツのハーメルンという街に現れた笛吹き男が約束を反故にされた報復として街中の子どもたちを連れ去ってしまう童話である(実話らしい)。もう我々には笛吹き男に連れ去られた子どもたちのように先生に着いていくしか道はないのだ。脚も頭も疲れすぎてそんなことを考えながら最後の下りを駆け抜けた。

 

ゴール

総距離59.5km(合計時間 実際12:57:27/目標10:28:03)

最後まで休ませてくれない奥久慈のアップダウンにお腹いっぱいになりながらやっとの思いでトレイルを抜けるとゴールまで数百mだった。ここからはもうウイニングラン。我々4人を待ってくれていたかのように沿道の人が歓声や拍手で迎えてくれる。手を振って応える気分は最高にいい。ここまでの道のりを振り返ると前半の瀕死の状態からなんとか気持ちを立て直しYさんと出会い、Oさんと先生と出会いなんとかここまでたどり着いたのだ。感極まって泣きそうだった(泣かなかった)。ゴールゲートは4人で手を繋いでくぐった。タイムは12:57。目標には遠く及ばなかったけれど立派に完走を果たしたのだ。(先生はオフィシャルにゴールを撮影されるときポールないほうがかっこいいからと事前にポールをしまっていた。)

 

ゴール後、Yさんのスマホで4人で写真撮ろうとしたのだが、先生は時計の距離が60kmにあと50m足りないからと言って引き続きそこら辺を走っており戻ってきてもさわやかな挨拶で颯爽と去って行ったので現時点で先生の写真は手元にない。(オフィシャルに4人の写真を撮ってもらったので公開待ち)

 

こうして自分史上最長の13時間に及ぶトレイルランニングが幕を閉じたのだった。

 

ゴール直後、右からOさんYさん。先生はこのとき走っている。

レースを終えて

完走の要因は4人で走れたことの他、暑熱順化がうまくいったことだと思う。レース1週間前から本格的に順化を開始。当日は日なたこそ直射日光で暑く感じたがそれ以外は全然暑くなかった。水分補給をこまめにして水をかぶったりしたことも有効だったと思う。

 

ゴール後は、本当はもっと早くに楽にゴールしてるつもりだったので電車で帰ること以外、帰りのことをあんまり考えてなかったのだがゴール会場から最寄駅まで距離3kmもありシャトルバスもなく全身疲労した身体で重い荷物を担いで行ける気がしなかった(往路はFさんの車で来たがFさんとは復路は互いのゴールが何時になるかわからないので別々で帰ろうと話していた)。

 

しかし車で来ていたOさんYさんが快く最寄りの風呂まで送ってくれ、さらにYさんの最寄駅柏の葉キャンパスまで送り届けてくれたのだった(そこから私の自宅までは更に電車で1時間)。当日帰宅予定で後泊の宿がなかった私はまさにYさんと出会ってなかったらその日の内に帰ることすらできてなかったのだ。その意味でもYさんをナンパしたことはこの日最大のファインプレイだった。(助かりました!)

 

なお色んな意味で出会いがなかったらゴールできてなかった私だがもう二度と奥久慈は走りたくないと心に誓っているしこのレポートを書いているレース5日後の今日でさえ絶賛筋肉痛と疲労感が残っているしなんなら右足の小指が腫れてるのだがでは来年絶対に奥久慈走ってないのかと問われると絶対とは言い切れないとなんとなく思っている始末である。

 

みなさん、奥久慈はやめといたほうがいいですよ。

癖になるんで。

 

2022OSJ奥久慈50k 出走人数:597名 / 完走者:266名 / 完走率:44.5%

【レースレポート】第31回 ぐんまマラソン

ぐんまマラソンへの意気込み

水戸黄門漫遊マラソンにエントリーし忘れて仕方なくエントリーしたぐんまマラソン。まさか水戸がオンライン化でぐんまはリアル開催とは不思議なめぐり合わせだ。

 

エントリー後、走行距離は6月252km,7月288km,8月310kmと伸ばしていったがこの頃はコロナの状況がヤバすぎて(語彙力)リアルで開催見込み薄いと半信半疑以下の気持ちでトレーニングしていた。そして9月には東京の延期と水戸のオンライン化が発表。ぐんまも時間の問題かと思われた。がしかし、ふと公式ページを見てみるとコロナが猛威を振るう8/23に「ボランティア追加募集のお知らせ」。なんと、ぐんま、やる気じゃないか?

 

この辺からやる気が出てきて9月は366kmに到達(自己最高)。週末は山と坂練で脚の耐久力を養い、週1のひとりインターバルではスピードを磨いた。そしていつまで経ってもぐんま公式ページには中止の文字はない。高まる信ぴょう性とみなぎるやる気!元気!いわき!練習に熱が入る。10月はテーパリング(疲労抜き)で距離を意図的に落としたが258km。本番直前の4週間として今までなら考えられないトレーニング量を余裕でこなす。

 

ぐんまのエントリーで目標タイムは自分でも半信半疑で3:00と入力した。が、10/21のMKディスタンス5000mTTでは18'48"で初の18分台を叩き出した。巷では誰が言ったかサブ3の最低条件は5000m18'45"のスピード能力と言われている。3秒なんて誤差。サブ3が自分の中で信憑性を帯びてきた。その他、世の中に出回るありとあらゆる有象無象のタイム予測ツールを使い、サブ3を目指せる数字的根拠を肉付けして絶対できると思い込む(ちなみにVDOTの予想タイムは2:59、愛用時計のPOLARでVO2Maxが64でなんかヤバかった(語彙力))。予想タイムなんて理想的な条件が揃った上での机上の空論なのはもちろん承知の上。そんな机上の空論でも条件さえ揃えばサブ3を目指せるだけの可能性が現実に生まれていることに成長を実感し、それがとにかく嬉しかった。

 

ぐんまマラソン

1週間前から前橋の天気予報を見たり、youtubeで前の大会を走った人の動画を見てイメトレ。そわそわして迎えたぐんまマラソン前日。前橋に前泊し明日の準備をしつつ22時には就寝、のはずが緊張してるのかなかなか寝付けない。試しにシャバーサナしてみたが変わらない。寝てるのか寝てないのかわからないぼんやりした意識のままいつのまにか起床予定時間の4:30に。

 

スマホを見ると何件か応援のメッセージが来ていた。こんな早朝に返信は迷惑かなと思いつつも返信しちゃう。応援してくれる人がいると思うとやっぱり高ぶる。高ぶったままホテルにお願いしていたモーニングコールはワンコール鳴らないうちに取った。

 

計画通りに起床即朝食、着替えを済ませて6:30発のシャトルバスに乗るために駅前へ。バスは15分ほどで停止し、さらに7分歩くと会場の正田醤油スタジアムに着いた。パンフレットは読み込んだので受付から荷物預け、トイレの位置、整列場所まで把握している。気合が違う。流れるように受付をくぐりアップ会場へ進む。空は驚くほど雲ひとつない快晴だった。

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前日は登利平でカーボローディング
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当日の装備品
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受付に並ぶ列

2年ぶりのスタートライン

アップでは軽くジョグしただけで心拍数が180まで簡単に上がってしまった。通常ならダッシュを何本かしないと出ないかなり高い値。いつもなら150前後なんだがどうやらすごく緊張してるらしい。誰かが言ってたけど緊張は自分への期待の現れなんだそうだ。確かに期待している。フルマラソンを走るのは実に2年ぶり。前回は2019年12月の台北ラソンだった。あのときは気温25度もあって20kmで脚終わって大失敗だったっけなど考えながら8:30にスタートのAブロックに向かう。スタート時間の9:00までは上半身のストレッチをしながら過ごしたが引き続き大して動いてもないのに心拍数が130-140をうろうろ。高い、大丈夫か。落ち着くんだ…素数を数えて落ち着くんだ…。

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雲ひとつない正田醤油スタジアム

号砲 スタート〜5km

さて、今回の作戦はありきたりだけど3:00のペーサーについていくこと(4'15"/kmペース)。でもスタートから15kmまでは上り基調なので4'20"/kmまで落とすのは問題ない。15kmからは30kmまで下り基調でここでペーサーに追いつき無心で走る。35kmから登り。ここは自然と坂練の成果が発揮されるでしょう!と入念な準備の割に安易な作戦。でもレースは何が起こるかわからないし綿密に作戦立てても仕様が無いのでそんなもんじゃないかと思う。

 

そうこうしている間にSブロックがスタートし、ほどなくしてAブロックもスタート。3:00のペーサーについていくはずが人の波にうまく乗れずあっという間に引き離され見えなくなった。初っ端から作戦が崩壊(結局ペーサーは最後まで見つけられなかった)。でも作戦通り行かないのはむしろ予想の範囲内。あまり気にせず自分のリズムで走る。なんだか調子がいい気がする。時計を見ると5kmまでのペースは4'16"/kmでほぼ予定通り。一方で心拍数が真っ赤(限界に近い)だけど呼吸も苦しくないし問題なし!このまま行くで!と変わらず進み続ける。後でデータを見ると5km過ぎの上りを超えたとき、心拍数はこの日最高の204を記録していた(私の最大値は207なので98%。限界)。

快調なペースと誤算 〜15km

快調なペースで無理なく走っている(つもり)が、10-14kmはこのコースの最高地点まで登る山場。飛ばさないよう時計をにらみつつ進む。実際11-14kmは4'24"/kmペースまで落とした。15km地点で平均ペース4'18"/kmと当初の作戦とほぼ同じ。我ながら素晴らしいペースメイクだと感心していたのだが不安なことがあった。直射日光がとにかくきつく、たまらなく暑い。実は最初の給水から暑くて身体に水をかけながら走っていた。それと身体にかけることに気を取られたため飲むのを忘れていて、ここまで量にしてコップ一杯程度しか摂取していなかった。結果としてそれが仇となった。

トラブル 〜22km

暑さは相変わらずだったし風も強くなってきたが予定通りのペースで走って呼吸も(なぜか)苦しくなく余裕すら感じていた。さてそろそろペースを上げてペーサーに追いつこうかなんて思っていた矢先の18km、右ふくらはぎに異変。攣りの兆候。まさか18kmでくるとは予想外、早すぎる。その後も断続的に攣りの兆候が現れるが完全には攣らないようにだましだまし、なんとか4'20"/kmで耐えるも、それ以上ペースを上げられない。わらにもすがる思いで給水地点で用意していた電解質パウダーをむせながら摂取(ミネラルで脱水予防)。周りには立ち止まってストレッチするランナーが増えてきた。そして努力むなしく22kmでついに攣って完全停止。道端でストレッチするランナーに加わることになってしまった。タイムはハーフで1:31'02"。攣った脚でペースが上がるはずもなく、サブ3への挑戦は事実上ここで潰えた

地獄 〜40km

攣ってからはもう地獄のような辛さだったが何度もピクピクするふくらはぎを強引に動かして進んだ。記録を見返すと攣った後の22-27kmまでを4'30"/km前後で頑張っているので自分でもすごいと思う。が28kmで左足も攣る。ここからはもうキロ5で耐えるのも難しかった。両脚が痛いし重い動かない。ふくらはぎもハムも全部痛い。風強い。暑い。用意してきたジェルも全部飲んだ。ついでに水も飲みすぎてなんだかお腹痛い。せめて電解質パウダーもう一袋持ってくればよかった、なんて後悔しながら念の為ポケットをまさぐると、なんかある。取り出すとなんと足攣り予防用のコムレケアゼリー!お守り用に持ってきていたのをすっかり忘れてた(即飲んだ)。すると飲む前の平坦区間30-35kmが26分06秒なのに対し、コムレケアゼリー摂取後の後半最大の山場である上り区間35-40kmが25分45秒で盛り返した。俺はバカだ

ラスト2km 〜感動のゴール

しかし40kmからのラスト2km。ここが一番辛かった。地味に登っているし川沿いのコースは風が相変わらず強くて進んだ気がしない(これが赤城おろし)。そして引き続きの暑さ。気温は20度を超えていただろうか。コムレケアだってここまでダメージ受ければ後の祭りで鼻くそみたいなもんである。また攣りの気配がビクンビクンきていた。そんな満身創痍のところにどこからか名前を呼ぶ声。んん?シライさんがいる!?前日までぐんま参加を非公表にしてたのにシライさんが沿道で名前を呼んでくれている!瀕死なのになんだか元気が出た(シライさんありがとうございます!)

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40km付近で苦しむ自分(シライさん撮影)

元気が出たところで残り1kmちょっと。この1kmがとても長い。すぐ前にいる小柄な女性を最後に抜きたくてペースを上げて一旦は抜くも結局最後は力尽きて抜き返されてのゴール。さっきまで走っていたのが嘘のようにしばらくぶっ倒れた。

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35−40kmで盛り返しててえらい

レース後

ぶっ倒れながらスマホでタイムを確認する。3:15'08"(ネット)。これまでのベストは2019/8の北海道マラソンで出した3:23'08"なので目標のサブ3には及ばずも8分更新したことになる。振り返ると前半の快調なペースと早くに脚が終わったのに粘れた点に成長を感じた。反省は色々あるしタイムには全く満足していないけど、2年ぶりに大規模なマラソンを走れたことが何よりうれしかった。やっぱりレースという機会は自分にとって大事。来年はコロナ次第だから結局どうなるかわからないけど他のみんなのためにもやってほしい。そしてぶっ倒れながら思った。2年で8分、コスパ悪いな。

 

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1km毎のLAP
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スタッツ 心拍数が高すぎる

 

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前橋駅前でリカバリー温泉