われ、走らんとす。

マラソンなる長距離走にて3時間を切るための話など書き綴るなり。

【レースレポート】豪雨!! 第9回 筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか ロング75k

1ヶ月以上前なんですがまたレース出たんで書きました。読んでください。

 

 

エントリー経緯

 

「夏の走り込みにぴったりのレースがあるよ!」

 

筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか

 

なんとも長い名前のこのレースを知ったのは5月末のOSJ奥久慈50kに一緒に参加したFさんからの一言だった。そのとき「ふーんそんなレースあるんだふーん変な名前!」と軽く流していたが(失礼)、このレースに出ることにしたのは倍率1.1倍の北海道マラソンにまさかの落選。さらに信越五岳とハセツネにエントリーできず、代わりにと今期秋冬のロード勝負レースに設定した水戸黄門漫遊マラソン(10月末)に向けて走り込みのレースを探していた6月にふと思い出したからだった。

 

調べてみるとなんとも興味深いレースだった。コースはショート25km、ミドル48km、ロング75kmありすべてロードを半分走ってからトレイルに入るようになっている。「ロード&トレイル」とはそういう意味。ロングには34km地点で靴履き替えサービス(予め預けておいたトレランシューズに履き替えられる、ドロップバッグ)がある。つまりロングに出ればフルマラソンに必須の30km走ができる上にトレイルも35km走れて一石二鳥のオトクなレースなのだった。しかもやばいのが開催時期。引き続き猛暑猛々しい8月最後の日曜日に行われる。この猛暑で2019年前回大会のロングの完走率は53.7%、2018年に至っては31.9%まで落ち込むハードボイルドなコンディションとなっていた。しかも地味にITRA3。

 

「こ、これはロングに出るしかないっしょ」

 

そうして「筑波連山天空ロード&トレイル in いしおか ロング75k」への参戦を決めたのだった。

 

レース概要

ロングコース

ロング75kmは、34kmまでアップダウンの続くロード、34-70kmまではトレイル、最後に平地を5kmというコース。前半ロードで飛ばしすぎると灼熱のトレイル区間でバテてしまうのでロードは省エネ走行が求められる。

 

距離は75km、獲得標高2900mなのでこの数字だけ見るとそれほどきつくなさそうなのだが、2900mのうち前半のロードが500mほどで後半35kmのトレイルで残りの2400mが待っている。そう見るとトレイルパートはなかなかきついことがわかる。いいじゃないかいいじゃないか(孤独のグルメ風に読もう!)

レース準備

暑さ対策としてベンチレーション抜群のTNFスリーブレスベントスピードクルー、帽子とコロンビア アームカバー フリーザーゼロII。パンツは迷ったが数日前に滑り込み入手した走る練習カルトタイツの調子が良さそうだったのでこれに決めた。シューズはロードNike Vaporfly  Next%2、トレイルNike Wildhorse 7。靴下はロード区間はoleno、トレイルはお気に入りのT2 ultraで(自分のとこの履けと言われそうだが泥々になるのが嫌で…(後述))。

目標 

50位以内 10時間切り 最低でも11時間切り

今回の目標は50位以内に入ること(エントリー約200名)。理由はリザルトの1枚目に載るのが50位以内だから!そのためには10時間切りは安全圏、最低でも11時間切りはしたいところ。

レースプラン

暑さが厳しそうなので前半ロードをキロ6-7で3時間半〜4時間以内でまとめる。後半は6時間前後で走る。苦手な登りは頑張れないので得意な平地と下りで頑張る。ラストの平地は30分で。(が、このレースプランは前日に崩れることになる)

その他、Stravaで筑波連山出るよと書き込んだところ奥久慈で出会った先生から応援に行くよというメッセージ!しかも素敵なアドバイス付き。燕山の木段がなかなかきついらしい。先生はどこまでも先生だ。46kmの洗心館エイドで待っててくれるとのこと!そこまではなんとか元気に走りたい。

前日移動

ロングは前日受付が必須なので前泊も必須。大会前日の石岡駅は快晴。駅から会場へのシャトルバスが出るまでに昼食を済ませておく。20分ほどで会場へ到着。受付をささっと済ませ駅前に戻って近くのスーパーで翌朝の朝食を調達。晩御飯は目当てのところが閉まってて泣く泣く近く丸亀製麺

 

しかし数日前まで猛暑猛暑と思っていたこの大会だが天気が怪しい。前日の天気予報によればロングスタートの午前5時から雨が降り出し数時間後には10mmを超える豪雨。そして山を降りる15時には止んでいるそうで最高気温も25度。灼熱のはずが下手したら同日の北海道マラソンより涼しそうじゃないか。レースプランは修正が必須だけど後半のトレイルが雨でどんな状態になっているか想像がつかない。前半は少し速く走れたとしてもトレイルがどうなっているか。

 

丸亀うまいから良し
宿はなんかキャッスル 部屋普通

レース本番

緊張のスタート。この直後から雨。
ロード区間34km

午前5時。薄暗い中でロングがスタート。直後から予報通りに小雨がパラパラ。しばらくは田園と古民家風の建物が広がるのどかな風景。5kmも行くとだいぶバラけて来て走力が近い人達がなんとなく固まるようになった。ペースはキロ5分ちょっとで想定より早いが気温が低いせいだろう。とはいえロードはあと30kmもある。暇である。暇なので近くを走っていたおじさんに話しかけてしばらく並走。おじさんは推定年齢50前後で調布から来たそうでこのレースを走るのは初めて。これまで走ったレースなんかをお互いに話してるうちに17kmの第三エイドでおじさんがトイレのためここで別れることになった。まだロードは半分近くあるのにさびしい。早くもおじさんシックである。

 

▼第三エイドで誰かの動画に映り込んでた(主役級扱い!)

 

エイドを過ぎると雨が勢いを増してきたので帽子を装着したが豪雨過ぎてツバが前に垂れて視界が狭まる。でも顔に雨が当たらないだけいい。アップダウンある道を一人また一人と抜いていく。しばらくすると一人旅になった。集中できているのか雨の音しかしない。淡々と刻んでいく作業は嫌いではない。雨が帽子に当たる音を聞きながら下を向いて再び淡々と進んでいく。

 

静か。でも静かすぎる。

 

そんなことを思ったところで別れ道。

 

あれ地面に矢印が見当たらない。どっちが順路?運営怠慢かよちゃんと矢印書いておいてくれないと困るよ。仕方ないから後ろの人が来るまでちょっと待つか。

 

数分経っても誰も来ない。雨は激しさを増すばかり。そして気づく。

 

(ロスト?)

 

慌てて念の為持ってきていた紙の地図を取り出すが雨がやばい。ビニールに入れて来てたのは良かったけど紙地図見てもいまいち自分の現在地がわからない。スマホのmapと照らし合わせて現在地を確認しようとするも雨で画面が濡れてうまく操作できない。

 

(えええピピピンチあqwせdrftgyふじこ!)

 

とにかく焦ったが数分の格闘の末なんとか現在地を把握(地図の読める男)、コースに戻れた。どうやら帽子が重くて下を向きすぎたため曲がるべき矢印を見逃していた模様。コースにはちょっと前に抜いた見覚えのある人たちがいたので10分はロスしたか。まさか市街地でロストするとは...筑波連山恐るべし。

 

コースに戻ってからはロスト分のタイムロスの焦りも少なからずあり少し飛ばした。しかし舗装路とはいえアップダウンのある道。段々とダメージが蓄積していたようで27kmで両ハムが攣りかけた。5分歩くと回復したので大事に至らなかったが後半のトレイルが丸々残っている状況でハム攣りは不安過ぎる。雨はさらに勢いを増してもはや帽子が意味をなさないので脱いだ。

 

そうして34kmのロード区間終了まであと数キロというところでまた近くの人に話しかけた(どんだけ)。年齢は自分より少し上くらいに見える屈強な印象の男性。なんでも先日の自分も走った奥久慈50kを11時間完走(自分より2時間早い!)、来年のUTMF出場を目標にポイント目当てでこのレースに参加したそう。今年は他に奥三河、美しが丘を完走。100kmクラスの大会は過去にも何回か出ていて秋にはFTR100出場予定だとか。ロードの練習はせずひたすら山力を鍛えているという硬派なトレイルランナーだった。格上ランナーがまぶしい。

 

そんな話をしているうちについに34km地点ロード区間ラストのエイドに到着。ここまでの時間は3:23。ロード区間は3:30-4:00予定だったので想定より早く到着した。しかし強まるばかりの雨がここへ来て最高潮に。まさに土砂降り。エイドには雨を凌げるテントとかあるのかなーと期待してたがテントは荷物置き場と補給食用のテントのみで先着ランナーはみな野ざらしざらしでドロップバッグを受け取っていた。(パイプ椅子だけ用意してくれた)

 

今回、ドロップバッグにはシューズの他、靴下と着替え用ベースレイヤーを預けていたがバッグから取り出した瞬間に豪雨で濡れ、シューズ以外は替える意味がない。モタモタしてるとドロップバッグ内に水が溜まっていく始末。着替え、シューズ履き替え、補給食を詰め替えてエイドのナシなどをいただく。気づくと奥久慈11時間さんは先に出発したようでいなくなっていた。そしてエイドをあとにしたのが3:38。想定より着替えに手間取ってしまい15分も滞在してしまったがこれから想像すらできなかった魔のトレイル区間に突入していくのである。

トレイル区間 35km

トレイル区間に入って間もなくすると後ろから声をかけられる(逆に)。振り返ると先に行ったと思っていた奥久慈さんがいた。奥久慈さんは登りが強くグイグイ引っ張ってくれ心強い。しばらく一緒に進ませてもらった。やがてボラの立つ分岐があった。

 

ここからすべりやすいよぉっ!

 

どれだけすべりやすいのか見せてもらおうか。と意気込んだ直後コケる。ついでに足つった。なんだこのドロドロのトレイルは・・・。まともに立つこともできない。前を行くランナーが皆ロープや木にしがみついている。諦めて尻で滑ってみると立ってるより速く安全に進めた。パンツの中身の様子は気になるが尻に腹は代えられない。そうしてやっとこさドロドロゾーンを抜けたがまだトレイルは始まったばかりである。

 

その後林道とロードを超えて再びトレイルに。次のピークは吾国山。いつの間にか奥久慈さんがいない。吾国山からミドルの選手と合流するのでトレイルの様子が気になる。登りはゆるいようで走るときつい。登りが苦手なのでここでは無理しない。

 

やがてドロドロゾーンに突入。期待以上のドロドロウォータースライダー状態。先程会得した尻滑りで進むと尖った石に尻擦ってしまい痛いのですぐやめた。尻滑りは使えなくなったが木にしがみついてなんとか攻略。すでに全身ドロドロに。

 

そうして山を下り、林道をしばらくいくと名前を呼ぶ声が聞こえる。前方で手を降っている人が。そこには応援に来てくれていた先生が!奥久慈以来なのにちゃんと覚えていてくれるのはうれしい。一緒に来ていた奥さんにもご挨拶。次のエイドの洗心館まで数百Mを並走してくれ元気が出た。洗心館で一息ついていると奥久慈11時間さんも合流(奥久慈11時間さんは34km地点で白Tに着替えてしまい後悔していた)。ここでわかったのが奥久慈11時間さんは先生の友人で、さらにStravaでお互い顔も知らずに相互フォローしていた人だったことが判明!トレラン界隈狭すぎか。

 

そうして先生との再会をひとしきり楽しみエイドを後にした。ここまで48km、残りは30kmを切っている。長い長い舗装路の下りを終えると今度は舗装路の登り。走れそうで走りたくない絶妙な斜度なので全部は走れない。60秒走って30秒歩く戦法を繰り返してやっとトレイルに入った。次のピークはこのレースの最高到達点標高701Mの燕山。先生からきついと聞かされていた木段が出てきた。しかし奥久慈で300段超えの階段を経験している。クリアできないはずがない。と思ったら500段以上あって死。がなんとか山頂到達。山頂付近は霧が濃くひんやりしていて動いていないと肌寒く感じるほどだった。

 

ここから加波山、丸山を越え最後の足尾山へ。風車やパラグライダーの発射台があり晴れてたら景色がキレイそうな場所をいくつか通るが今日は濃霧でなにも見えない。足尾山はショートコースも合流してくるのでこれまで以上のドロドロが想定される。そして林道からトレイルに入る地点でボラから一声。

 

ここからさらにすごいとこだよぉ!(ニヤニヤ)

 

ニヤニヤめっちゃムカつく!と思いつつもトレイル突入。案の定これまでで最凶の下りドロドロウォータースライダーが待っていた。誰かの動画を拝借したので映像でご確認ください。(この人はミドルなのでこの後通ったロングは更にひどい)

 

 

やっとの思いで山を降りると70kmの文字。あとは平地5kmのみ!田んぼの間の長い長いあぜ道でおじさんに一人抜かされる。

 

抜かれ際に「坂で背中お見かけしてましたw」と一言いただく。マウント取られた気がして悔しいがスピードが上がらずおじさんにどんどん離される。もうあぜ道も飽きた頃にやっと舗装路に出た。ここぞとばかりに加速。マウントおじさんの背中が近づいてくる。ゴールまであと少し!

 

すると路上に手をふる人が。なんと先生!洗心館からここまで来てくれたらしい。生徒想いの先生を持った幸せを噛みしめる。最後にマウントおじさんを抜く勇姿を見せたいと気合が入りゴール前200mで大人気なくダッシュかましおじさんを抜き去りフィニッシュ!タイムは10:32:57であった。

左:ゴール前でマウントおじさんを振り切る 右:ゴールして傾く自分
がんばったが調布のおじさんは10時間切りを果たしていた・・・

 

レースを終えて

灼熱の太陽を想定していたらまさかの豪雨と低温、ドロドロウォータースライダーのエクストリームな展開のレースになったが最低限の目標の11時間切りは達成。順位も40位で無事リザルト1枚目に載れたので大満足!

 

帰りはドロドロとずぶ濡れのウェアやシューズ、参加賞のでかい梨四個で荷物重すぎ。電車に乗ってリュックで来たけどこれは車で来るべきレースだった。

  

ドロドロの装備を洗濯・・・

今後の課題

登りの走力:登りはトレーニングの成果もあって以前よりは登れるようになったが長い登り林道を走りきれる力がない。途中で登りで抜かれ下りで抜き返すデッドヒートを演じた人(先着された)がいてゴール後に話したらやはりゆるい登りで走れないとタイムが出ないので意識していると言っていた。近所の激坂練がんばろう。

 

エイドワーク:それぞれのエイドで結構ゆっくり過ごしてしまったが今後順位やタイムを狙うならこのへんはパパっと済ませられるようにしたい。具体的には水の入ったフラスクをザックに戻すのが苦手なのでフラスクではなく硬質なボトルにするとかアイテムの面からも改善できる点があるように思っている。

 

以上レポートでした。

年内出たかったトレイルレースは全部エントリーできなかったんで結果的に筑波連山が最後のレースになりました。

 

次回は1年ぶりのフルマラソン水戸黄門漫遊マラソンです!